COVID-19関連追加(20211010日)BNT162b2ワクチン防御の減弱(カタール)

【カタールにおけるSARS-CoV-2感染に対するBNT162b2ワクチン防御の減弱】

Chemaitelly H, et al. Waning of BNT162b2 Vaccine Protection against SARS-CoV-2 Infection in Qatar. N Engl J Med. Oct 6, 2021.

https://doi.org/10.1056/NEJMoa2114114.

Background

カタールは,20201221日より,まずBNT162b21Pfizer-BioNTech)のメッセンジャーRNAmRNA)ワクチン2)3ヶ月後にmRNA-1273Moderna)ワクチン3)を追加し,Covid-19の大規模な予防接種キャンペーンを開始した4).両ワクチンの接種は,米国食品医薬品局(FDA)が承認したプロトコルに従って行われ1)3)202012月から本稿執筆時までにワクチン接種率が順調に上昇した(Figure 1A).ワクチンの接種は段階的に行われ,まず第一線で働く医療従事者,重度または複数の慢性疾患を持つ人,70歳以上の人に優先的に接種された.その後,年齢層を1つずつ拡張し,教師などの特定の職業に就いている人にもワクチン接種を行った.202197日時点で,12歳以上の90%以上の人が少なくとも1回のワクチン接種を受け,80%以上の人が2回のワクチン接種を受けたと推定されている5).これは,世界で最も高いmRNAワクチンの接種率と思われる6)

ワクチン接種の拡大に伴い,同国では20211月から6月にかけてSARS-CoV-22回連続して流行し、B.1.1.7(またはアルファ)変異ウイルス7)B.1.351(またはベータ)変異ウイルス7)が主流となった2)4)8)-10)

ワクチン接種の拡大に伴い、20211月から6月にかけて、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2SARS-CoV-2)が2回連続して発生し、B.1.1.7(またはアルファ)7亜型とB.1.351(またはベータ)7亜型が主に使用されました2,4,8-10

20213月末にB.1.617.2(またはデルタ)変異ウイルス7)の有意な地域伝播が初めて検出され,2021年夏にはB.1.617.2変異ウイルスが主流となった8)-10).ワクチン接種率が高かったにもかかわらず,SARS-CoV-2感染発生率は20217月から8月にかけて緩やかに増加し,8月末には減少に転じた(Figure 1B).本研究では,1回目と2回目の接種を受けた後のSARS-CoV-2感染とCovid-19関連入院および死亡に対するBNT162b2ワクチンのリアルワールドでの有効性を評価した.

 

 

Figure 1: Time Trend of Vaccinated Persons, SARS-CoV-2 Infections, and Vaccine Breakthrough Infections in Qatar.

Methods

202111日〜95日までの期間に,matched test-negative, case–control studyデザインを用いて,あらゆるSARS-CoV-2感染,およびあらゆる重症,重篤または致命的なCovid-19症例に対するワクチンの有効性を推定した.

Results

Summary:

あらゆるSARS-CoV-2感染に対する推定BNT162b2有効性は,1回目接種後2週間では取るに足らないものであった(negligible.その後,1回目接種後3週目には36.8%95%信頼区間[CI], 33.2-40.2)に上昇し,2回目接種後1ヶ月目には77.5%95%CI, 76.4-78.6)とピークに達した.その後,有効性は徐々に低下し,4ヶ月目以降は低下が加速し,2回目接種後57ヶ月目には約20%に至った.症候性感染に対する有効性は,無症候性感染に対する有効性よりも高かったが,同様に減弱した.変異ウイルス別の有効性も同じパターンで減弱した.重症,重篤,致死性Covid-19症例に対する有効性は,1回目接種後3週目までに66.1%95%CI, 56.8-73.5)と急速に上昇し,2回目接種後,最初の2ヶ月は96%以上に達した; 6ヶ月間はほぼこのレベルで持続した

BNT162b2によるSARS-COV-2感染に対する防御は,2回目接種後にピークに達したのち,急速に減弱したように見えたが,入院や死亡に対する防御は2回目接種から6ヶ月間,強固なレベルで持続した.(Funded by Weill Cornell Medicine–Qatar and others.

 

STUDY POPULATION:

20201221日〜202195日において,合計947,035人がBNT162b2を少なくとも1回接種し,907,763人が2回接種レジメンを完了した(Figure 1A).1回目接種日の中央値は2021421日,2回目接種日の中央値は2021510日であった.1回目接種から2回目接種までの期間の中央値は21日(IQR, 21-22日)であり,97.4%の人が1回目接種後30日以内に2回目接種を受けた.この期間中,564,196人がmRNA-1273を少なくとも1回接種し,494,859人が2回接種を完了した(Figure 1A).

Figure S2は,SARS-CoV-2感染に対するBNT162b2の有効性を調査するために用いた集団選択プロセスを示している.PCR陽性の症例参加者の暦月ごとの分布をFigure S1Bに示す.ワクチン有効性を推定するために使用したサンプルの人口統計学的特性とPCR検査を行った理由をTable 1Table S2, S3に示した.研究参加者の年齢中央値は31歳,約69%が男性で,参加者の出身国は多岐にわたっていた.本研究サンプルは,カタールの人口の明確な人口統計学的特徴を代表していた17)28)

症状に基づいてSARS-CoV-2感染の診断を受けたのは,症例参加者の約35%のみであった(Table 1).残りの症例参加者は,接触者追跡,調査やランダム検査キャンペーン,個人の依頼,医療機関での定期的な検査など,その他の理由でPCR検査に基づいて診断された.

 

Table 1: Demographic Characteristics of the Participants and Reasons for PCR Testing among Samples Used to Estimate BNT162b2 Vaccine Effectiveness.

VACCINE BREAKTHROUGH INFECTIONS:

研究終了時(202195日)には,このワクチンを1回接種した参加者の間で,合計8203件のSARS-CoV-2 BNT162b2ブレイクスルー感染が記録され,そして2回接種した参加者の間で,10,543件のブレイクスルー感染が記録された.毎日診断されたすべてのSARS-CoV-2感染のうち,ワクチン(BNT162b2またはmRNA-1273)ブレイクスルー感染の割合は,時間経過とともに徐々に増加し,202195日には36.4%に達した(Figure 1C).ワクチンブレイクスルー感染のほとんど(77.2%)は,BNT162b2ワクチンで記録された.

2021830日時点で,BNT162b21回または2回接種した参加者において,重症Covid-19症例(急性期の入院21))がそれぞれ377人と106人記録された.同様に,重篤Covid-19症例(ICU入院21))がそれぞれ32人と10人,致死性Covid-19症例(Covid-19関連死亡22))がそれぞれ34人と15人,記録された.詳細はSection 2 in the Supplementary Appendixに記載されている.

VACCINE EFFECTIVENESS AGAINST ANY SARS-COV-2 INFECTION:

あらゆるSARS-CoV-2感染に対する推定BNT162b2有効性は,1回目接種後2週間は取るに足らない程度(negligible)であったが,1回目接種後3週目には36.8%95%CI, 33.2-40.2)に上昇し,2回目接種後1ヶ月目には77.5%95%CI, 76.4-78.6)とピークに達した(Table 2 and Figure 2Aしかし,有効性は2回目接種後1ヶ月目から徐々に低下した.その低下は4ヶ月目以降に加速し,2回目接種後57ヶ月目には有効性が約20%という低いレベルに至った.既感染や医療従事者の状態を調整した感度解析では,主要な解析結果が確認された(Table 3).

Table 2: Effectiveness of the BNT162b2 Vaccine against Any SARS-CoV-2 Infection and against Any Severe, Critical, or Fatal Case of Covid-19.

 

 

Figure 2: Effectiveness of the BNT162b2 Vaccine.

Data are presented as effectiveness point estimates, with 𝙸 bars indicating the corresponding 95% confidence intervals. Covid-19 denotes coronavirus disease 2019.

 

 

Table 3: Sensitivity Analysis.

VACCINE EFFECTIVENESS AGAINST ANY SARS-COV-2 INFECTION ACCORDING TO AGE AND VARIANT:

BNT162b2の有効性の経時的低下に対して年齢による交絡の可能性があったかどうかを調べるために,有効性を年齢別(60歳未満と60歳以上)で評価した.どちらの年齢群の結果も,規模(60歳以上では有効性がわずかに低いが,防御を獲得した割合において若干の違いがあった)および有効性の低下パターン(Table S4)はほぼ同様であり,すべての年齢群の全参加者で結果は同様であった(Table 2

上記の評価は,これらの期間のほとんどで優勢だったB.1.351 2)29)に対するBNT162b2の有効性を反映している2)4)8)-10).しかし,2021年の夏にB.1.617.2の発生率が着実に増加し8)-10),この時期にB.1.351の発生率が着実に減少したことから8)-10)2回目接種後5ヶ月以上経過した時点での有効性評価は,B.1.617.2に対する有効性を反映していた

BNT162b2有効性の低下が,時間経過とともに異なる変異ウイルスに曝露したことによる交絡の可能性があったかどうかを調べるために,B.1.1.7B.1.351B.1.617.2感染に対する有効性を分けて評価した.各変異ウイルス(Table S5)の感染に対する推定有効性は,あらゆるSARS-CoV-2感染に対する有効性と同様のパターンを示した(Table 2

VACCINE EFFECTIVENESS AGAINST SYMPTOMATIC AND ASYMPTOMATIC INFECTIONS:

症候性および無症候性感染に対する推定BNT162b2有効性は,1回目接種後に有効性が上昇し,2回目接種後1ヶ月目に有効性はピークに達し,その後数ヶ月で有効性は徐々に低下,症候性感染では4ヶ月目以降,無症候性感染では3ヶ月目以降,低下は加速するという同様のパターンを示した(Table 4.しかし,症候性感染に対する有効性は,無症候性感染に対する有効性よりも一貫して高かった.有効性のピークは,症候性感染に対しては81.5%95%CI, 79.9-83.0)であったのに対し,無症候性感染に対しては73.1%95%CI, 70.3-75.5)であった

Table 4: Effectiveness of the BNT162b2 Vaccine against Symptomatic SARS-CoV-2 Infection and Asymptomatic SARS-CoV-2 Infection.

VACCINE EFFECTIVENESS AGAINST COVID-19–RELATED HOSPITALIZATION AND DEATH:

SARS-CoV-2感染による重症,重篤,致死性疾患に対する推定BNT162b2有効性は,1回目接種後2週間は取るに足らないものであったしかし,1回目接種後3週目には66.1%95%CI, 56.8-73.5)と急速に上昇し,2回目接種後,最初の2ヶ月目には96%以上に達した(Table 2 and Figure 2B感染に対する有効性とは異なり,入院や死亡に対する有効性は,2回目接種後7ヶ月目には,症例数は少なかったが,低下の兆しが見られたものの,時間経過とともに低下しなかった.既感染や医療従事者の状態を調整した感度解析では,主要な解析結果が確認された(Table 3).年齢層に応じた有効性(Table S4)も同様の結果を示した.

また,いずれの重症,重篤,致死性疾患を複合したアウトカムに対する有効性に対して(Table 2),重症,重篤,致死性疾患に対する有効性を個別に推定した(Table S6).これらの個別の疾患に対する推定有効性は,複合疾患に対する有効性と同様であり,2回目接種から6ヶ月間は有効性の明らかな低下は見られなかった

ADDITIONAL ANALYSES:

これらのリアルワールドにおける推定有効性に潜在するバイアスの影響を調べるために,追加の感度解析を行った(Section 5 in the Supplementary Appendix).その結果,すべての解析で一貫した結果が得られ,主要解析(Table 2)で観察されたのと同様に,2回目接種後数ヶ月で有効性が低下するパターンが見られた(Table S7-S10).

研究結果をさらに検証するために,matched test-negative, case–control studyデザインとは異なる方法を用いて有効性を推定した.推定値は,研究期間中のPCR陽性反応との関連について,多変量ロジスティック回帰解析を用いて得られた(Table S11).この解析でも,主要解析結果と同様の結果が得られた(Table 2).

Discussion

感染に対するBNT162b2による防御は,1回目接種後に急速に高まり,2回目接種後1ヶ月目にピークに達し,その後の数ヶ月で徐々に減弱した.減弱は4ヶ月目以降に加速し,その後は約20%という低いレベルに至るようだ.ワクチンに予想されるように31)32)症候性症状を伴う感染に対する防御よりも,無症候性感染に対する防御は急速に低下したが,入院や死亡に対する防御が著しく低下したという証拠は見られず,2回目接種後6ヶ月は,概ね90%以上の強固な防御が維持された.これらの知見が感染伝播に与える影響はまだ明らかにされていないが,最近,この同じ集団において,ワクチンブレイクスルー感染は,ワクチン未接種者の一次感染よりも感染性が低いことがわかった33)

今回の予防接種キャンペーンでは,重度あるいは複数の慢性疾患を持つ人への接種が優先され,年齢層別に接種が行われたため,このような防御の低下パターンは,理論的には年齢や併存疾患の影響による交絡の可能性がある.しかし,すべての年齢で同様の防御の減弱パターンが観察されたため,この可能性は裏付けられなかった.また、カタールの若い生産年齢集団においては,重度あるいは複数の慢性疾患を持つ人が少なく17)28),高齢そのものが(部分的に)併存疾患のプロキシとなっているかもしれない.国のワクチン優先順位リストでは,重篤な併存疾患を持つ全年齢層の19,800人だけが,ワクチンロールアウト第一期で優先的に接種されることになっていた.

感染の発生は,時間経過とともに異なる変異ウイルスによって引き起こされた; したがって,防御の低下は,異なる時点で異なる変異ウイルスに曝露することによる交絡の可能性がある.しかしながら,その可能性は低いようだ.研究期間中,圧倒的に優勢だったのはB.1.351であり2)4)8)-10)B.1.1.7B.1.351B.1.617.2についても同様の防御の減弱パターンが観察された.

ワクチン接種者は,未接種者と比べて社会接触率が高く,また安全対策の遵守率も低いと推測される34)-36)このような行動は,ワクチンの生物学的有効性と比べて,リアルワールドでの有効性を低下させる可能性があり,これが防御の低下の説明になる可能性がある.カタールでは公衆衛生上の制限が徐々に緩和されてきているが,ワクチン接種者と未接種者では違いがある.現在,多くの社会活動,仕事,旅行では,義務化された携帯アプリ(Ehterazアプリ)で管理されるワクチン接種の証拠(”health pass”)が必要とされている.リスク補償(risk compensation: a theory which suggests that people typically adjust their behavior in response to perceived levels of risk, becoming more careful where they sense greater risk and less careful if they feel more protected)は,2回目接種を受けてからの時間が長くなるほど高くなるかもしれない; つまり,行動の正常化が進行する可能性がある35)-37).しかし,2回目接種後の時間経過に伴ってリスク補償が急激に増加しない限り,リスク補償は,観察された時間経過に伴う防御の急速な減弱よりも,推定有効性の全体的なレベルに影響を与える可能性がおそらくは高い

カタールではPCR検査が大規模に行われており,毎週,人口の約5%が検査を受けている5)現在,SARS-CoV-2感染と診断される人の約75%は,発症ではなく,定期的な検査で診断されている.ワクチンを接種した参加者の中には,そうでなければ見逃されていたであろう多くの無症候性感染症が診断された可能性がある.感染がより多く確認されたことで、有効性の推定値が低下したかもしれない.この考えは,観察された無症候性感染に対する有効性の低さからも支持される.

新たな証拠は本研究で得られた知見を裏付ける.BNT162b2の有効性が大幅に低下していることを示唆する研究が増えている38)-42).また,イスラエルや米国における最近の報告でも,BNT162b2の感染に対する有効性は,時間の経過,暦月とともに低下することが示されており,この知見は支持されている42)-46)イスラエル43),カタール30),および米国46)のように,1回目接種から3週間後に2回目接種が実施された国では,我々の知見と,接種間隔がより長いと免疫原性が高いことと併せると,それらの国で,2021年の1月または2月に2回目接種された集団の無視できない割合でB.1.617.2が優勢になっていることが,B.1.617.2に対する有効性が低いことの説明にもなるかもしれないしかしながら,2021年の1月または2月に2回目接種された集団の無視できない割合でB.1.617.2が優勢になっているカナダ15),英国13)14)のような,接種間隔を延長したスケジュールの国では,B.1.617.2に対するより高い有効性が観察されている

Limitation: 併存疾患に関する個人レベルのデータが入手できなかったため,解析に明示的に反映させることができなかった.しかし,年齢で調整することは,部分的に,プロキシとしての役割を果たしたかもしれない.カタールの人口集団は若いため17)28),研究対象者のうち,重篤な併存疾患を持つ人の割合は少なかったかもしれない.50歳以上の人口集団は全体の9%に過ぎず17)28)60%は巨大開発プロジェクトに従事する若い外国人肉体労働者である18)19)48).今回の調査結果は,高齢者が総人口のかなりの割合を占める他の国には一般化できないかもしれない.

有効性の評価は,ワクチン接種者と未接種者のコホートを追跡する無作為化臨床試験ではなく,observational, test-negative, case–control studyデザイン11)12)を用いて行われた.我々は,ワクチン接種率が高かったため,未接種者が減少してしまい,コホート研究を行うことができなかった.しかし,カタールの同じ集団に以前適用したコホート研究デザインでは,test-negative, case–controlデザインで報告された結果と同様の結果が得られており2)4),呼吸器感染症に対するワクチンの有効性を評価する上で,この標準的なアプローチが有効であることを裏付けている2)4)11)-15).この研究の結果は,我々が以前に行った1回目および2回目接種直後のワクチン有効性の推定値とも一致している2)29).我々の以前の推定では,PCRによるCt値が低い症候性感染が(ほとんど)対象だったが,本研究の推定では,Ct値が高いものと低いものの両方の無症候性感染が(ほとんど)対象であることに注意が必要である.

しかし,リアルワールドのデータでは,検査を求める行動の微妙な違いや,迅速抗原検査のような他の検査法の導入に伴う検査パターンの変化など,予期しない方法や未知のソースからバイアスが生じる可能性を除外することはできない.例えば,渡航前や入国時のPCR検査を含めると,負のバイアス(negative bias),つまり有効性推定値が低下することがわかった(Table S10これはおそらく,ワクチン接種者だけに与えられる渡航特権の結果として,ワクチン接種者と未接種者では検査を求める行動が異なるためであろう49)

1回目接種後013日目の参加者のワクチン有効性はゼロをわずかに下回っており,負のバイアスを示唆している可能性があるしかし,このような結果は,Covid-19ワクチン50)-52)や他のワクチンでも観察されている53)この効果は,ワクチン接種時または接種後の社会的行動の違いを反映しているか,あるいは免疫学的効果53)を反映しているかもしれない

これらのlimitationにもかかわらず,本研究では,PCR検査を行った理由や症状の有無にかかわらず,時間の経過とともにワクチン防御が減弱することについて,大きな効果量を示す一貫した結果が得られた.さらに,カタールでは大規模PCR検査が行われているため5),バイアスの可能性はおそらく最小限に抑えられている.実際,潜在的なバイアスの影響を調べるために実施されたさまざまな感度解析や追加解析(対象者や除外基準の変更など)では,いずれもワクチン防御の急速な減弱を示す結果が得られた.

今回の研究では,感染に対するBNT162b2による防御は,2回目接種後1ヶ月目にピークに達し,その後,月を追うごとに徐々に減弱し,2回目接種後57ヶ月には低いレベルに至った一方BNT162b2による入院や死亡に対する防御は,2回目接種後6ヶ月間,ほとんど減弱せずに持続したこれらの知見は,今後数ヶ月間にワクチン接種を受けた集団の大部分が感染に対する防御を失う可能性を示唆しており,おそらく新たな流行の波が発生する可能性が高まっていると考えられる

 

 

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Supplementary appendix