COVID-19関連追加(20211022-2

mRNAワクチンについてその25

(思春期におけるデルタに対するBNT162b2有効性,

妊娠中のワクチン接種と流産)

 

【思春期におけるデルタ変異に対するBNT162b2の有効性】

Reis BY, et al. Effectiveness of BNT162b2 Vaccine against Delta Variant in Adolescents. N Engl J Med. Oct 20, 2021. https://doi.org/NEJMc2114290.

SARS-CoV-2B.1.617.2(デルタ)変異は,世界の多くの地域で循環している優勢株として出現してきている.Covid-19に対するBNT162b2 mRNAワクチンは,最近の観察研究でデルタ変異の感染予防に対して効果的であることがわかったが1),他の報告では,この変異に対するワクチン有効性が低下することが示唆されている2)3)2021510日,米国食品医薬品局(FDA)は,デルタ変異が米国で流行する前に実施された臨床試験に基づいて,12歳以上の思春期に対するBNT162b2の緊急使用を承認した4).思春期におけるBNT162b2ワクチンの有効性,特にデルタ変異に対する有効性については,さらなる証拠が必要である.

我々は,ワクチン未接種者とマッチした思春期ワクチン接種者におけるデルタ変異に対するBNT162b2ワクチン有効性を推定することを試みた.我々は,イスラエル最大の医療機関であるClalit Health Servicesのデータを用いて,電子カルテにおいて,SARS-CoV-2感染歴がなく,202168日〜914ワクチンを接種した1218歳の思春期を対象とした観察的コホート研究を行った.この期間にイスラエル保健省が実施した感染者から得られたサンプルのシーケンスによると,イスラエルの一般集団における95%を超える新規感染者がデルタ変異ウイルス感染であった.

我々は,同じ医療機関で同じデータベースを用いて実施されたワクチン有効性に関する以前の研究5)と同じ方法を用いた(See the Methods section in the Supplementary Appendix).ワクチン有効性は,「1−リスク比」と定義され,リスク比は,記録されたSARS-CoV-2感染およびCovid-19症状に対して,いくつかの追跡期間にわたって推定された.Covid-19に関連するより重篤なアウトカムは,この年齢層ではまれである.

ワクチンを接種した思春期184,905人のうち130,464人が適格条件を満たし,このうち94,354人のワクチン接種者と94,354人のワクチン未接種対照者のマッチングを行った(Fig. S1 and the Methods section in the Supplementary Appendix).対象となった集団は,いくつかの人口統計学的および臨床的特徴に関して,マッチした集団と同様であった(Tables S1 and S2).SARS-CoV-2 PCR検査の頻度は,ワクチン接種集団と未接種集団で同様であった(100人当たり週にそれぞれ9.4回と9.9回).追跡調査の中央値は,ベースライン(ワクチン接種者は初回接種を行った時点と定義)から27日後であったワクチン接種群と未接種群のSARS-CoV-2感染のKaplan-Meier曲線は,最初の数日間は同様であったが,その後はワクチン接種群の方がゆっくりと上昇していった(Table 1 and Fig. S2

Figure S1: Population Flow Chart.

Figure S2A, B: Cumulative Incidence of Outcomes.

 

Table 1: Effectiveness of BNT162b2 Vaccine among Adolescents.

記録されたSARS-CoV-2感染に対する推定ワクチン有効性は,1回目接種後1420日で59%95%信頼区間[CI], 52-65),1回目接種後2127日で66%95%CI, 59-722回目接種後721日で90%95%CI, 88-92であった症候性Covid-19に対する推定ワクチン有効性は1回目接種後1420日で57%95%CI, 39-711回目接種後2127日で82%95%CI, 73-912回目接種後721日で93%95%CI, 88-97であった

SARS-CoV-2感染歴のない12歳〜15歳のワクチンを接種した思春期1983人における最近の無作為化試験では,非デルタ変異による症候性感染に対するBNT162b22回接種の推定ワクチン有効性は100%95%CI, 75-100)と報告された4).今回の観察研究では,12歳〜18歳の思春期を対象に,デルタ変異が優勢である環境下で,記録された感染と症候性疾患の両方に対するワクチン有効性を,より正確に推定することができた.思春期のデルタ変異に対するBNT162b22回接種の推定ワクチン有効性は,同じ研究デザインを用いた一般集団におけるアルファ変異に対する推定有効性と同程度であり5),異なるデザインを用いた観察研究における一般集団のデルタ変異に対する推定有効性88%95%CI, 85-90)と同様であった1)

我々の結果では,12歳〜18歳までの思春期を対象としたBNT162b2 mRNAワクチンは,ワクチン接種後の最初の数週間で,デルタ変異による記録されたデルタ変異による感染および症候性Covid-19のいずれに対して高い有効性を示した

 

References

1) Lopez Bernal J, Andrews N, Gower C, et al. Effectiveness of Covid-19 vaccines against the B.1.617.2 (Delta) variant. N Engl J Med 2021;385:585-594.

2) Puranik A, Lenehan PJ, Silvert E, et al. Comparison of two highly-effective mRNA vaccines for COVID-19 during periods of Alpha and Delta variant prevalence. August 21, 2021 (https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.08.06.21261707v3.). preprint.

3) Herlihy R, Bamberg W, Burakoff A, et al. Rapid increase in circulation of the SARS-CoV-2 B.1.617.2 (Delta) variant — Mesa County, Colorado, April–June 2021. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2021;70:1084-1087.

4) Frenck RW Jr, Klein NP, Kitchin N, et al. Safety, immunogenicity, and efficacy of the BNT162b2 Covid-19 vaccine in adolescents. N Engl J Med 2021;385:239-250.

5) Dagan N, Barda N, Kepten E, et al. BNT162b2 mRNA Covid-19 vaccine in a nationwide mass vaccination setting. N Engl J Med 2021;384:1412-1423.

 

 

 

 

 

 

 

【妊娠中のCovid-19ワクチン接種と妊娠第1三半期の流産】

Magnus MC, et al. Covid-19 Vaccination during Pregnancy and First-Trimester Miscarriage. N Engl J Med. Oct 20, 2021. https://doi.org/10.1056/NEJMc2114466.

Covid-19に罹患した妊婦は有害事象のリスクが高く,妊娠中のCovid-19ワクチン接種が推奨されている1)2).しかし,妊娠中のCovid-19ワクチン接種に関する安全性データは限られている3)4)

 

※妊娠初期(第1三半期): 妊娠1週〜13週,妊娠中期(第2三半期): 14週〜27週,妊娠末期(第3三半期): 28週〜43週.

 

我々は,第1三半期妊娠(first-trimester pregnancies),Covid-19ワクチン接種,背景の特性,基礎的な健康状態,に関するノルウェーの登録データを用いて症例対照研究を行った(Supplementary Methods and Tables S1 to S3 in Supplementary Appendix).2021215日〜815日の間に,妊娠14週前に流産が登録されたすべての女性(症例患者)と,プライマリケアベースで妊娠第1三半期に妊娠継続が確認された女性(対照)を同定した.ノルウェーでは,基礎疾患のある女性を除き,妊娠第1三半期のワクチン接種は推奨されていないが,妊娠に気付いていない女性も妊娠第1三半期にワクチン接種する可能性がある.女性の年齢,出生国,配偶者の有無,教育水準,世帯収入,子供の数,医療機関における就労,Covid-19リスクの併存症,SARS-CoV-2検査陽性歴,暦月を調整して,流産または妊娠継続以前の5週間および3週間の期間以内にCovid-19ワクチンを接種した場合のオッズ比,95%信頼区間を推定した.

妊娠継続している女性13,956人(うち5.5%がワクチン接種済み)と流産した女性4521人(うち5.1%がワクチン接種済み)では,ワクチン接種から流産または妊娠継続の確認までの日数の中央値は19日であった(Fig. S2流産した女性では,Covid-19ワクチン接種の調整済みオッズ比は,過去3週間に接種した場合は0.9195%CI, 0.75-1.10),過去5週間に接種した場合は0.8195%CI, 0.69-0.95)であったTable 1.結果は,入手可能なすべての種類のワクチンを含めた解析(Table S5),接種回数(1回または2回)によって層別化した解析(Table S6),医療従事者(妊娠第1三半期以外に定期接種が推奨されている)または妊娠確認後8週間以上の追跡調査を受けた女性(その後の妊娠喪失[pregnancy loss]を除く)に限定した感度解析(Table S7)でも同様であった.

Table 1: Odds Ratios for Covid-19 Vaccination in a 5-Week or 3-Week Window before Miscarriage or Confirmation of an Ongoing Pregnancy.

今回の報告の限界は,レジストリには妊娠初期登録時の妊娠年齢(gestational age)に関する情報がないため,妊娠年齢に応じて症例患者と対照をマッチさせることができなかったことである.しかし,認識されている流産のほとんどは,妊娠6週目〜10週目の間に起こることが知られており5),この期間は,ノルウェーの女性が妊娠確認のために医師に相談する妊娠年齢と同様である(Fig. S1).また,ノルウェーでは,妊娠確認のためにプライマリ・ケアの予約をしている女性は約40%しかいないが,これらの女性の特徴は,妊娠確認の登録をしていない女性の特徴と同様のようだ(Table S4).我々は,ワクチン接種と臨床的に認識されていない流産との関連性には取り組むことができない.潜在的な交絡因子の調整による結果への影響は最小限であったが,本登録には,我々の知見に影響しうる交絡因子であるライフスタイルやその他の要因に関する情報は含まれていない(see Supplementary Appendix).

我々の研究では,Covid-19ワクチン接種後に初期の妊娠喪失リスクが増加するという証拠はなく,他の報告同様に3)4)妊娠中のCovid-19ワクチン接種を支持するものである

 

References

1) Centers for Disease Control and Prevention. COVID-19 vaccines while pregnant or breastfeeding. August 11, 2021

(https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/recommendations/pregnancy.html.).

2) National Health Service. Pregnancy, breastfeeding, fertility and coronavirus (COVID-19) vaccination. September 2, 2021

(https://www.nhs.uk/conditions/coronavirus-covid-19/coronavirus-vaccination/pregnancy-breastfeeding-fertility-and-coronavirus-covid-19-vaccination/.).

3) Zauche LH, Wallace B, Smoots AN, et al. Receipt of mRNA Covid-19 vaccines and risk of spontaneous abortion. N Engl J Med 2021;385:1533-1535.

https://doi.org/10.1056/NEJMc2113891.

米国疾病対策予防センター(CDC)のv-safe Covid-19ワクチン妊娠登録のデータを解析し,妊娠6週〜20週未満までの自然流産の累積リスクを調べた.妊娠前または妊娠20週以前,および妊娠6週以前に妊娠喪失を経験していない女性で,mRNA Covid-19ワクチンを少なくとも1回接種した単胎妊娠の参加者をこの解析に含めた.

自然流産のリスクの下限と上限を示す2つのhistorical cohortsデータと比較すると,我々の主要解析と感度解析による自然流産の累積リスクは,予想されるリスク範囲内であったFigure 1.妊娠前または妊娠中のmRNA Covid-19ワクチン接種後の自然流産のリスクは,予想される自然流産のリスクと一致することを示唆する.

Figure 1: Cumulative Risk of Spontaneous Abortion in the v-safe Covid-19 Vaccine Pregnancy Registry and in Two Historical Cohorts.

 

4) Kharbanda EO, Haapala J, DeSilva M, et al. Spontaneous abortion following COVID-19 vaccination during pregnancy. JAMA 2021 September 8 (Epub ahead of print).

5) Mukherjee S, Velez Edwards DR, Baird DD, Savitz DA, Hartmann KE. Risk of miscarriage among black women and white women in a U.S. prospective cohort study. Am J Epidemiol 2013;177:1271-1278.