COVID-19関連追加(20211117日)

511歳の小児におけるBNT162b2ワクチンの評価】

Walter EB, et al. Evaluation of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine in Children 5 to 11 Years of Age. N Engl J Med. Nov 9, 2021. https://doi.org/10.1056/NEJMoa2116298.

Background

BNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech)は,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2SARS-CoV-2)のウイルススパイク糖タンパク質をコードするヌクレオシド修飾mRNAを含む脂質ナノ粒子製剤である1)BNT162b2ワクチンは,本試験のデータに基づき2)16歳以上のコロナウイルス感染症2019Covid-19)の予防を目的として,202012月に米国食品医薬品局(FDA)から緊急使用承認を取得し,その後,20215月には1215歳まで,20211029日には5歳から11歳までに拡大された.BNT162b2は,最近,米国で16歳以上に対する予防接種のライセンスを取得した2)

12歳以上の健常者を対象に継続中の第1-2-3相臨床試験の結果,30μgBNT162b221日間隔で2回接種した場合の安全性,免疫原性,効果(efficacy)が確認された3)-5)12歳以上の健常者を対象に継続中の第1-2-3相臨床試験の結果,30μgBNT162b221日間隔で2回接種した場合の安全性,免疫原性,効果(efficacy)が確認された3)-5)BNT162b2は,一過性の軽度〜中程度の注射部位の痛み,倦怠感,頭痛を特徴とする許容可能な安全性プロファイルを持ち,若年成人よりも1215歳の間でより高い免疫原性を示し,2回目接種後7日〜約2ヶ月までのCovid-19疾患の予防に95100%の効果があることが示された3)4)2回目接種後7日〜6ヶ月までのCovid-19に対するワクチンの効果は91%であり6)2回目接種後8日〜28日までのリアルワールドにおける有効性(effectiveness)も同様に推定された7)

Covid-19は一般的に成人よりも小児の方が軽症であるが,一次感染後の重症疾患や小児多臓器炎症症候群(MIS-C: multisystem inflammatory syndrome in children)などの長期合併症が発生することもある8)9)Covid-19感染者の中で学齢期の小児の占める割合は高く10),高い伝播性を持つB.1.617.2(またはdeltavariantの拡散を含め,SARS-CoV-2の伝播に重要な役割を果たしている可能性がある13)14)20219月末時点で,18歳未満の患者は,米国の週間患者数の4分の1を超え,累積入院患者数の1.64.2%を占めていた10).米国では,20217月初旬以降,小児のCovid-19関連の入院が着実に増加している; 9月下旬には511歳の小児の有病率が人口10万人当たり1.1人となり,過去最高を記録した15).また,パンデミックにより教育が中断され,小児の社会的・情緒的な発達や精神的な健康に悪影響を及ぼしている16)-19).したがって,学齢期の小児に安全で効果的なワクチンを提供することが重要である.

Methods

Summary:

生後6ヶ月〜11歳までの小児を対象に,BNT162b2ワクチンを21日間隔で2回接種した場合の安全性,免疫原性,効果を検討するため,第1相用量設定試験および現在実施中の第2-3相無作為化試験が行われている.我々は,511歳までの結果を紹介する.第2-3相試験では,参加者は、1相試験で確認された用量BNT162b2ワクチンを2回接種する群と,プラセボを接種する群に2:1の割合で無作為に割り付けられた.BNT162b22回目接種から1ヶ月後の免疫応答は,30μgBNT162b22回接種した主要な試験の1625歳の参加者の免疫応答に免疫学的にと橋渡しされた(were immunologically bridged to).2回目接種後7日以上経過した時点でのCovid-19に対するワクチンの効果(vaccine efficacy)を評価した

 

PROCEDURES:

Phase 1, Open-Label, Dose-Finding Study:

511歳を対象に,efficacy studyで示された1215歳における30μgの用量レベルの安全性が認められたことから,10μgの用量レベルで,21日間隔で2回のBNT162b2を筋肉内(三角筋)に注射するワクチン接種法が開始された4).計画された各用量レベル(10μg20μg30μg)で、4人の最初の参加者(センチネル参加者sentinel participants)がBNT162b2の注射を受け,ワクチン接種後,計画された2日間の休止期間が設けられた.懸念される安全性事象が認められなかった場合,各群の残りの12人の参加者にワクチンを接種した.内部審査委員会で10μgでの安全性評価が許容範囲内であることが確認された後(see the Supplementary Appendix),20μgの用量レベルでのワクチン接種が開始された30μgの用量レベルでも同じプロセスを踏んだ

Phase 2–3 Randomized Trial among Children 5 to 11 Years of Age:

参加者は,interactive Web-based systemを用いて,第1相で選択した用量のBNT162b210μg)または生理食塩水のプラセボを21日間隔で2回投与する群に2:1の割合で無作為に割り付けられた.第2-3相試験では,注射の準備または投与を行う者を除くすべての参加者および試験担当者は,各群の割り当てを知らされなかった.6ヶ月後,または地域や国の推奨に従って参加者がCovid-19ワクチンの接種を受ける資格を得た後,プラセボ投与者にはBNT162b2ワクチンが提供される.

SAFETY:

安全性評価は,各用量接種後7日間の電子日記を用いて,保護者から報告された反応性事象の評価を行った.心筋炎または心膜炎の確定診断を含む自発報告としての有害事象(unsolicited adverse events)に関するデータは,1回目接種から2回目接種後1ヶ月まで収集された重篤な有害事象に関するデータは,1回目接種から2回目接種後6ヶ月まで収集されるだろう

IMMUNOGENICITY:

1相試験では全参加者,第2-3相試験では一部の参加者を対象に,免疫原性評価のために血液を採取し,既存の方法でSARS-CoV-2中和力価を測定した20).この試験では,力価の比較可能性を確保するため,511歳と1625歳の血清サンプルを並行して測定した.解析は,過去にSARS-CoV-2に感染したという血清学的またはウイルス学的証拠がない参加者を対象とした.第1相試験では,評価可能な参加者から2回目接種後7日時点で採取した血清サンプルのSARS-CoV-2中和幾何平均力価(GMTs: geometric mean titers)を測定した(Table S1).第2-3相試験では,GMTsの比(幾何平均比)と,2回目接種後1ヶ月の時点において511歳で血清反応を示した参加者の割合と1625歳で血清反応を示した参加者の割合の差,ベースラインおよび2回目接種後1ヶ月時点のGMTs,ベースラインから2回目接種後1ヶ月までの幾何平均倍数の上昇(geometric mean fold)を算出した.血清反応は,ベースラインから4倍以上に力価が上昇した場合,またはベースラインの測定値が定量下限値未満の場合では定量下限値の4倍以上の力価が得られた場合に定義された.

EFFICACY:

SARS-CoV-2感染の既往がない参加者と全参加者の両方において,2回目接種から少なくとも7日後に発症したCovid-19が確認された場合のワクチンの効果(vaccine efficacy)について述べたSARS-CoV-2感染とCovid-19の確認方法については,Supplementary Appendixにまとめた.

STATISTICAL ANALYSIS:

1相試験のサンプルサイズおよび第2-3相試験の総サンプルサイズは,統計的仮説検定(statistical hypothesis testing)に基づいていない.安全性集団の安全性エンドポイント(Table S1)は,数(counts),パーセンテージ,および関連するClopper-Pearsonの両側95%信頼区間として記述的に示されている.有害事象および重篤な有害事象は,MedDRAMedical Dictionary for Regulatory Activities24.0版の用語に従って,群ごとに分類されている.

有効性(effectiveness)は,511歳のBNT162b2による中和力価と,有効性が証明されている1625歳のBNT162b2による中和力価を比較し,正式な非劣性仮説検定を行う免疫ブリッジング(immunobridgingアプローチによって推定された.中和力価が比較された511歳の免疫ブリッジングサブセットは,米国および欧州の施設から登録された485人(BNT162b2322人,プラセボ群163人)で構成されていた.免疫ブリッジング比較では,免疫ブリッジングサブセットの免疫原性集団から評価できるデータを使用した.先行研究4)で得られた1625歳の参加者350人(30μgBNT162b2300人,プラセボ群50[盲検化の目的で含む])を,免疫ブリッジング対照年齢群としてsimple random-sample selection procedureを用いて選択した.プロトコールで規定された免疫ブリッジングの成功は,2回目接種から1ヶ月後に採取した血清サンプルの中和力価の幾何平均比に基づいており,幾何平均比(1625歳に対する511歳の比)の95%信頼区間の下限が0.67≧,幾何平均比の点推定値が0.8以上の場合に宣言された報告された解析のためのdatabase lock後に受け取ったFDA communicationでは,免疫ブリッジング成功の幾何平均比の点推定値を1.0以上にすることが提案された

血清反応の差に基づく免疫ブリッジングの成功は,血清反応を示した参加者の割合の差([511][1625])の95%信頼区間の下限が−10%よりも大きい場合に宣言された両年齢層で評価可能なデータを持つ225人のBNT162b2接種者のサンプルサイズでは,幾何平均比および血清反応の差に基づいて免疫ブリッジングを実証するパワーが,それぞれ90.4%92.6%となった

ワクチンの効果(efficacy)は,100×1-IRR)と定義したIRRは,プラセボ群で確認されたCovid-19に対するBNT162b2群のCovid-19の割合である.ワクチンの効果に関する両側95%信頼区間は,Clopper-Pearson法を用いて,サーベイランス時間(各群のエンドポイントのリスクを有する全参加者のうち,与えられたエンドポイントの1000人年における総時間と定義)で調整して求めた.

Results

Summary:

1相試験の間,511歳の小児48人に,BNT162b2ワクチンを10μg20μg30μg(各用量レベルで16人)接種した.反応原性と免疫原性に基づいて,10μgの用量レベルがさらなる試験のために選択された.第2-3相試験では,2,268人の小児が無作為にBNT162b2ワクチン(1517人)またはプラセボ(751人)の接種を受けた.データカットオフ時点での追跡調査期間の中央値は2.3ヶ月であった.511歳までの年齢層では,他の年齢層と同様に,BNT162b2ワクチンの安全性は良好であった.ワクチンに関連した重篤な有害事象は認められなかった.2回目接種後1ヶ月,511 歳と1625歳のSARS-CoV-2中和力価の幾何平均比は1.0495%信頼区間[CI], 0.93-1.18)であり,事前規定した免疫原性成功基準を満たしていた(両側 95%CIの下限値, >0.67; 幾何平均比の点推定値, ≧0.8).2 回目接種後7日以上経過して発症したCovid-19 は,BNT162b2ワクチンを接種した3人とプラセボを接種した16人で報告された(ワクチン効果, 90.7%; 95% CI, 67.7-98.3).

 

PARTICIPANTS:

Phase 1:

2021324日〜414日にかけて,米国の4つの施設で511歳の小児合計50人を対象にスクリーニングを行い,48人にBNT162b2ワクチンの段階的拡大接種(escalating doses)を行った(Figure 1).小児の半数は男性で,79%が白人,6%が黒人,10%がアジア人,8%がヒスパニック系またはラテン系であった.平均年齢は7.9歳であった(Table S2).

Phase 2-3:

202167日〜619日にかけて,米国,スペイン,フィンランド,ポーランドの81施設で,511歳の小児2316人を対象にスクリーニングを行い,2285人が無作為化された; 2268が注射を受け,内訳は1517BNT162b2751がプラセボ群に無作為に割り付けられた(Figure 1).なお,プラセボ接種群に無作為に割り付けられた1人の参加者は,誤って2回ともBNT162b2を接種されたため,1518人の参加者がBNT162b21回目接種を受け,750人の参加者がプラセボの1回目接種を受けた.99%を超える参加者が2回目接種を受けた.データカットオフ時点での追跡調査期間の中央値は2.3ヶ月(range, 0-2.5)であった; 参加者の95%から,2回目接種後少なくとも2ヶ月の追跡調査による安全性データを得ることができた.全体の52%が男性で,79%が白人,6%が黒人,6%がアジア人,21%がヒスパニック系またはラテン系であった(Table 1).平均年齢は8.2歳だった; 小児の20%に合併症があり(うち12%が肥満,約8%が喘息),そしてベースラインで9%SARS-CoV-2陽性であった.年齢が低かったこと,黒人およびヒスパニック系またはラテン系の511歳の割合(それぞれ6%18%)が1625歳(それぞれ12%36%)よりも低かったことを除けば,人口統計学的特性は,免疫ブリッジングサブセットに含まれた511歳と1625歳のBNT162b2接種者の間で同様であった(Table S3).

Figure 1: Screening, Randomization, and Vaccine and Placebo Administration among 5-to-11-Year-Old Children in the Phase 1 Study and the Phase 2–3 Trial.

Participants who discontinued the vaccination regimen could remain in the study. In the phase 2–3 trial, reasons for not receiving the first dose included withdrawal (14 children), no longer meeting eligibility criteria (2 children), and protocol deviation (1 child). Discontinuations or withdrawals after the first dose were due to a decision by the parent or guardian or by the participant, except one, for which the reason was classified as “other.” In the phase 2–3 trial, one participant who was randomly assigned to receive placebo was administered BNT162b2 in error for both doses. Therefore, 1518 participants received dose 1 of BNT162b2 and 750 participants received dose 1 of placebo.

 

 

 

 

Table 1: Demographic and Clinical Characteristics of Children in the Phase 2–3 Trial.

PHASE 1 SAFETY AND IMMUNOGENICITY:

ほとんどの局所反応は軽度から中等度で,いずれも一過性であった(Fig. S1A and Table S4).発熱は,10μg用量レベル群および20μg用量レベル群よりも,30μg用量レベル群で,1回目および2回目接種後に多く見られた(Fig. S1B).30μg2回目接種を受けた30μg用量レベル群のセンチネル参加者4名全員が7日以内に軽度から中等度の発熱を示した.30μg用量レベル群の残りの12人の参加者は,第2-3相用量の選択後に内部審査委員会が推奨したとおり,1回目接種から約1ヶ月後に”10μg”2回目接種を受けた.1回目接種から2回目接種後1ヶ月を通しての有害事象は,BNT162b210μg2回接種した参加者の43.8%20μg2回接種した参加者の31.3%30μg2回接種した参加者の50.0%から報告された(Table S610歳の参加者における1件の重篤な有害事象(グレード3の発熱)は,BNT162b220μg2回目に接種した日に始まり,接種翌日には体温が39.7℃に達し,翌日には解熱した.解熱剤が使用され,試験責任者はこの事象がBNT162b2ワクチン接種に関連していると考えた.

2回目接種後7日の血清中和GMTsは,10μg用量のBNT162b2では416320μg用量では4583であった(Fig. S2).これらの安全性および免疫原性に関する知見に基づき,第2-3相試験では,511歳の小児を対象に,10μgの用量レベルが選択され,さらなる評価が行われた

PHASE 2–3 SAFETY:

BNT162b2接種者は,プラセボ接種者に比べて,より多くの局所反応および全身性事象を報告した(Figure 2).報告された反応および事象は,一般的に軽度から中等度で,12日持続した(Table S4).注射部位の痛みは,最も一般的な局所反応であり,BNT162b2接種者の7174%に認められた1回目または2回目接種後に重度の注射部位の痛みが報告されたのは,BNT162b2接種者の0.6%で,プラセボ接種者にはなかった倦怠感と頭痛は,最も頻繁に報告された全身性事象であったBNT162b21回目または2回目接種後に,重度倦怠感0.9%),頭痛0.3%),悪寒0.1%),筋肉痛0.1%)が報告された.疲労感,頭痛,悪寒の頻度は,1回目接種後はBNT162b2接種者とプラセボ接種者で同様であり,2回目接種後はプラセボ接種者よりもBNT162b2接種者の方が多かった.一般的に,全身性事象は,BNT162b22回目接種後に,1回目接種後よりも多く報告された発熱は,BNT162b2接種者の8.3%において,1回目または2回目接種後に発生した解熱剤の使用は,1回目接種後よりも2回目接種後の方が多かった1人のBNT162b2接種者は,2回目接種から2日後に40.0℃の熱が出たが,解熱剤を使用し,翌日には解熱した.

1回目接種から2回目接種後1ヶ月を通して,BNT162b2接種者の10.9%,プラセボ接種者の9.2%に有害事象が報告された(Table S7BNT162b2接種者(3.0%)ではプラセボ接種者(2.1%)よりもわずかに多く,試験責任者がワクチンまたはプラセボに関連すると判断した有害事象が報告された.重篤な有害事象は,BNT162b2接種者の0.1%,プラセボ接種者の0.1%で報告された.2人の参加者では3つの重篤な有害事象がカットオフ日までに報告された; 3つの事象(1人のプラセボ接種者における外傷後腹痛,膵炎,そして1人のBNT162b2接種者の腕の骨折)はいずれも,ワクチンまたはプラセボとは無関係と考えられた.死亡や中止に至った有害事象は報告されなかった

リンパ節腫脹は,10人のBNT162b2接種者(0.9%),1人のプラセボ接種者(0.1%)で報告されたBNT162b2接種者に投与者における心筋炎,心膜炎,過敏症,あるいはアナフィラキシーは報告されなかったBNT162b2接種者における4つの発疹(腕,体幹torso,顔,または全身bodyに観察され,一貫したパターンはない)は,ワクチン接種に関連していると考えられた; これらの発疹は軽度でself-limitingであり,通常ワクチン接種後7日以上経過して発症した.ベースラインのSARS-CoV-2感染状況によってデータを解析したところ,安全性に差は見られなかった.

Figure 2: Local Reactions and Systemic Events Reported in the Phase 2–3 Trial within 7 Days after Injection of BNT162b2 or Placebo.

Panel A shows local reactions and Panel B shows systemic events after the first and second doses in recipients of the BNT162b2 vaccine (dose 1, 1511 children; dose 2, 1501 children) and placebo (dose 1, 748 or 749 children; dose 2, 740 or 741 children). The numbers refer to the numbers of children reporting at least one “yes” or “no” response for the specified event after each dose; responses may not have been reported for every type of event. Severity scales are summarized in Table S5; fever categories are designated in the key. The numbers above the bars are the percentage of participants in each group with the specified local reaction or systemic event. 𝙸 bars represent 95% confidence intervals. One participant in the BNT162b2 group had a fever of 40.0°C after the second dose.

 

 

PHASE 2–3 IMMUNOGENICITY:

1625歳の30μgBNT162b2における中和GMTsに対する511歳の10μgBNT162b2における中和GMTsの幾何平均比は,2回目接種後1ヶ月では1.0495%信頼区間[CI], 0.93-1.18)でありTable 2),この比は,両側95%信頼区間の下限が0.67より大きく,事前に定義した幾何平均比の点推定値が0.8以上,およびFDAが要求した幾何平均比の点推定値が1.0以上という免疫ブリッジング基準を満たしていた.どちらの年齢群においても,2回目接種後1ヶ月に参加者の99.2%が血清反応を獲得した.血清反応を獲得した511歳の割合と1625歳の割合の差は0.0%ポイント(95%CI, 2.0-2.2)であり,これも免疫ブリッジング基準を満たしていた

 

BNT162b22回目接種後1ヶ月の血清中和GMTsは,511歳で11981625歳で1147であった(Fig. S3; プラセボ接種者の対応するGMTsは,それぞれ1110であったベースラインから2回目接種後1ヶ月の幾何平均倍数の上昇は,511歳で118.21625歳で111.4であった; プラセボ接種者の対応する幾何平均倍数の上昇は,それぞれ1.11.0であった.なお,第1相試験で報告された中和GMTsは,2回目接種後7日(免疫応答拡大の間)の血清サンプルから得られたものであり,第2-3相試験で報告されたGMTsは,2回目接種後1ヶ月の血清サンプルから得られたものである.

Table 2: Results of Serum SARS-CoV-2 Neutralization Assay 1 Month after the Second Dose of BNT162b2 among Participants 5 to 11 and 16 to 25 Yr of Age.

PHASE 2–3 EFFICACY:

既往のSARS-CoV-2感染の証拠がない参加者のうち,Covid-19症例(2回目接種後7日以上経過してから発症)は,BNT162b2接種者で3人,プラセボ接種者で16人であった; 観察されたワクチンの効果は90.7%95%CI, 67.7-98.3であった既往のSARS-CoV-2感染の証拠にかかわらない,評価可能なデータを持つすべての参加者では,追加症例は報告されず,観察されたワクチンの効果は90.7%95%CI67.4-98.3であった(Figure 3重症Covid-19あるいはMIS-C症例は報告されなかった

Figure 3: Vaccine Efficacy in Children 5 to 11 Years of Age.

The graph represents the cumulative incidence of the first occurrence of Covid-19 after the first dose of vaccine or placebo. Each symbol represents cases of Covid-19 starting on a given day. Results shown in the graph are all available data for the efficacy population, and results shown in the table are those for the efficacy population that could be evaluated (defined in Table S1). Participants without evidence of previous infection were those who had no medical history of Covid-19 and no serologic or virologic evidence of past SARS-CoV-2 infection before 7 days after the second dose (i.e., N-binding serum antibody was negative at the first vaccination visit, SARS-CoV-2 was not detected in nasal swabs by nucleic acid amplification test at the vaccination visits, and nucleic acid amplification tests were negative at any unscheduled visit before 7 days after the second dose). The cutoff date for the efficacy evaluation was October 8, 2021. Surveillance time is the total time in 1000 person-years for the given end point across all participants within each group at risk for the end point. The time period for Covid-19 case accrual was from 7 days after the second dose to the end of the surveillance period. The 95% confidence intervals for vaccine efficacy were derived by the Clopper–Pearson method, adjusted for surveillance time.

 

 

Discussion

511歳までの小児を対象にした10μgBNT162b2ワクチンの21日間隔,2回接種は安全性,免疫原性を保ち,そしてCovid-19に対する効果は90.7%であった.小児におけるBNT162b2の評価は,いくつかの理由から行われた.高年齢層へのワクチン接種が優先されたことで,パンデミック初期に比べて学童期の小児が症例や入院の割合を占め10)22)23)24),そして学校での集団感染も発生している14)25).小児のSARS-CoV-2感染を予防することの直接的な有益性は,重症疾患,入院,そしてMIS-Cなどの重症または長期にわたる合併症からの保護である.間接的な有益性は,感受性のある人に影響する伝播を含む家庭や学校での伝播が減少し,そして対面での学習がより安全になる可能性が挙げられる26)-29).この年齢層に有効なCovid-19ワクチンがなければ,小児が継続的な感染のリザーバーとなり,新たなvariantsの発生源となる可能性がある26)30).また,Covid-19に関連した学校閉鎖や隔離は,家族や保護者にとって社会的および経済的コストとなる.したがって,パンデミックを抑制するための継続的な取り組みには,年齢層を超えた幅広い層へのワクチン接種が不可欠である.

1相試験の安全性および免疫原性の結果に基づき,BNT162b210μgが第2-3相試験で511歳を対象とする用量として選択された.この用量では,主に12日持続する低グレードの局所および全身性の有害事象が認められた; 発熱の頻度および重症度は低かったピボタル試験における成人および青年と比較して,511歳では,注射部位の発赤1519% vs 57%)および腫脹1015% vs 58%)の発生率が高かったものの,発熱(37% vs 120%)および悪寒(510% vs 642%)などの全身性事象の発生率は全般的に低かった3)4)リンパ節腫脹は,511歳のBNT162b2接種者の0.9%で報告されたこの発生率は,1215歳(0.8%)と同様だが,成人(0.3%)よりも高い3)4)ワクチンに関連する可能性のある発疹が4件報告されたが,その数が少なかったため,成人のBNT162b2接種者で観察されたパターンと類似しているかどうかを判断することができなかった31)調査は継続されているが,MIS-C症例は報告されなかった心筋炎や心膜炎は観察されなかったが,これは他の年齢層におけるリアルワールドのBNT162b2接種においてこれらの有害事象の頻度が低いことと一致する知見である32)

511歳で観察された強固なウイルス中和反応は,16歳以上を対象に2回目接種後7日から約2ヶ月において95%のワクチンの効果が確認された,1625歳で観察されたピボタル試験3)の結果と同様であった.1625歳までの,効果評価を組み合わせたデータに対する免疫ブリッジングは,1215歳までの緊急使用許可4)の裏付けとなった.511歳で観察されたBNT162b2の高い効果は免疫ブリッジングの結果やピボタル試験3)4)6)で示された高い効果と一致する.

この試験では,12歳未満の小児を対象としたmRNAワクチンによるSARS-CoV-2感染に対する予防接種について述べるとともに,この集団におけるCovid-19ワクチンの安全性,免疫原性,効果を報告している.この試験の限界は,免疫応答の持続期間,効果,安全性を評価するための長期追跡調査が行われていないことである.しかし,この試験から2年間の長期的な追跡調査を行うことで明らかになるはずである.またこの試験では,511歳の小児を対象としたBNT162b2の潜在的なまれな副作用を検出するための検出力はなかった.しかし高齢者層でのBNT162b2の使用が広く行われていることと,この試験で認められたBNT162b2の安全性を合わせて考えると,安心が得られるはずである.さらに,この試験では511歳の拡大したコホートを評価しており,追加の安全性評価も進行中である.さらに,BNT162b2と他のワクチンとの併用が評価されていないことや,予防接種に対する細胞介在性応答がまだ得られていないことも限界である.

ここで報告されたデータは,511歳の小児に10μgのワクチンを2回接種することを支持するものである.なお、BNT162b2の低年齢層での評価は現在進行中である.

Supported by BioNTech and Pfizer.

 

References

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