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第63回 日本アレルギー学会秋季学術大会
2013年11月

<喘息治療におけるSMARTの有用性>

  • 繰り返す気道収縮が気道のリモデリングを引き起こし難治化の原因となる(NEJM 2011,364(25)).
  • 軽症持続型でもICS+LABA配合剤は増悪を減らせるというデータは多い.
  • FMは効果がでるのが速く,用量依存性がある
  • SMARTの本質
  • SABAは患者ははやめに吸うことが多い(症状が改善するから).しかしICS増量はしばらく経ってから行うということが結果として多かった.しかしこの時期ではすでに気道炎症↑になっている早く気道炎症をとった方が肺機能悪化を防げる.よって,“SABAを早く使いたい”といったタイミングでBUD/FMを使用することはこの事実にマッチしている(ICSによる抗炎症治療の早期強化).
  • しかしながら,SMARTを数日やってダメならば,基礎治療強化を考える.
  • SMARTは増悪の回数を減らせる.
  • 経口PSLとの使い分けは?:データがあるわけではないが,3日ほどSMARTをやって改善なければ,経口PSLを投与するようにしている
  • 患者さんがSABAを使うほどではないが,PEF<80%になったのなら,SMARTを行ってもよいかもしれない
  • 数日SMART行ってもダメならば,維持療法を強化するべきだろう.

<喘息と真菌>

  • アスペルギルス,ぺニシリウム,アルテルナリア,クラドスポリウム,フザリウム,カンジダがアレルギーに関与する真菌.特にアスペルギルス
  • 環境中のアスペルギルス増加⇒侵襲性アスペルギルス症(ICS)を発症することがある.
  • フォスフォリパーゼ活性が高いアスペルギルス(ロイコトリエンを産生するアスペルギルス)は有意にICSを発症しやすい.
  • 獲得免疫を介さず,直接好酸球を活性化する可能性(慢性壊死性肺アスペルギルス症の病理で壊死した肺組織の周囲に好酸球が多い例(アレルギー素因ない人でも))
  • アスペルギルスにダニやホコリなど複数因子が関与すると,一過性でなく永続的なアレルギーが形成される
  • アスペルギルスフミガタス(Af)生菌⇒アレルギー+感染.
  • Af死菌⇒アレルギー.
  • ABPA
  • ①アスペルギルス感染により粘液産生が亢進する(ダニなどのアレルギーがあって痰が多いだけでなく,Afそのものの影響).
    喘息ではアスペルギルス貪食能が低下する
    その結果,ダニなどによる先行して喘息があるほうがアスペルギルスが定着しやすい(Th2優位⇒Af定着⇒定着と増殖⇒Th17上昇⇒好酸球や好中球の活性化).
  • 真菌感作重症喘息(severe asthma with fungal sensitization: SAFS)
  • ①ABPAは否定する.
    真菌はリモデリングを起こしやすい.
    ③ステロイドが効きにくい要素(好酸球性に加えて好中球性炎症.ダニ⇒好酸球,真菌⇒好中球).
    抗真菌薬(ITCZなど)の出番?:FAST study(AJRCCM 2009:a fall in IgE, a modest improvement in rhinitis and morning peak flow, but not FEV1).ただし,決して真菌感染だけが喘息の重症化の要因ではない.
  • ABPAに対するITCZ
  • CID 2008でははじめからITCZとステロイド使いましょうと提案しているが・・・⇒個人的には,ステロイドの反応が悪い人に対してITCZを使うべきと考えている.ABPAはあくまで血清学的,放射線学的診断であり,Af培養検査は診断基準に入っていない.自検では粘液栓のサブロー培地培養を行っている(通常の痰では難しい).必ずしもAfとは限らない.はじめからITCZなどアゾール系を選択するのは問題では?
  • ITCZ耐性の問題.長く使えば使うほどに耐性化.ABPAの80%がAf PCR陽性で,その75%がアゾール耐性であったデータがある⇒はじめからアゾール長期使用は危険
  • 新しい治療は?(今までの治療は行き詰まり感がある):
  • ①Omalizumab.
    ②マクロライド:Af培養上清にMUC5ACが発現⇒マクロライドによる発現抑制.
    ③樹状細胞による免疫療法.

<嗅覚障害とアレルギー性鼻炎>

1)においと受容と伝導
  • におい=空気中に浮遊する低分子有機化合物(分子量<300).20〜40万存在し組み合わせは無限大.同じにおい分子でも濃度により異なったにおいに感じる(例:スカトール(糞):濃い⇔ジャスミン:薄い)
  • 呼吸粘膜(輸送)→嗅粘膜(ためこむ)→嗅細胞(1つの嗅細胞には1つの受容体のみ発現)→嗅球(仕分け)→海馬など(においの記憶.“プルースト現象”.)→大脳臭覚野(感覚の統合).
2)嗅覚障害:①伝導性:呼吸性嗅覚障害,②神経性:嗅粘膜性嗅覚障害,末梢神経性嗅覚障害,中枢性嗅覚障害(最近ではアルツハイマー病初期での嗅覚障害などが知られる).
  • 原因:副鼻腔炎 48%アレルギー性鼻炎 6%感冒後 18%頭部顔面外傷 6%,の4つがメイン.
3)アレルギー性鼻炎と嗅覚障害
  • アレルギー性鼻炎による嗅覚障害は少なくない(23〜67%).ただし嗅覚障害におけるアレルギー性鼻炎の割合はそれほど高くない(2.4〜16.2%).
  • アレルギー性鼻炎による嗅覚障害は呼吸性嗅覚障害.
4)One Airway-One Disease
    上気道 下気道
    アレルギー性鼻炎アトピー喘息(アトピー)
    非好酸球性副鼻腔炎感染DPB
    好酸球性副鼻腔炎非アトピー・
    非感染
    喘息(非アトピー)
5)好酸球性副鼻腔炎
  • ほとんど成人発症.喘息やアスピリン喘息合併.早期に嗅覚障害が出現し骨洞が中心.マクロライドが無効でステロイドが有効再発しやすい鼻汁がねばりがある(ニカワ様)のが特徴的.鼻茸が高頻度に認められ,嗅裂にも.
  • 治療:ステロイド内服・点鼻・噴霧,ロイコトリエン拮抗薬,内視鏡手術と鼻洗.
  • 例:経口PSL 10mg/7days→5mg/7days⇒点鼻として,リン酸ベタメサゾン2回/日〜1回/日・隔日⇒ステロイド点鼻としていくが,ステロイド点鼻時点で再発することが少なくない
    比較:非好酸球性副鼻腔炎:治療は,少量マクロライド+カルボシステイン,ステロイド点鼻,内視鏡手術.
6)ステロイド点鼻の問題点
  • リン酸ベタメタゾン5ml/1 week(1回3-4滴x両側x1日2回)は,経口PSL 4〜5mgに相当する.1〜2ヶ月使用で68%にACTHやコルチゾールの可逆的低下を認める⇒容易な減量に注意.3ヶ月くらいが目安.
7)副鼻腔炎の手術成績
    70%くらいは治るが,好酸球性副鼻腔炎は再発が問題になる.特に喘息が併発している例に再発が多かった

<上気道発症ANCA関連血管炎>

  • 上気道限局型の多発血管炎性肉芽腫症(GPA).GPAの80%は上気道症状で初発する(耳:50%,鼻:70%.肺は30%,腎臓は10%くらい).
  • 上気道限局型を現行の診断基準で診断することは困難である.実際,上気道限局型で診断基準非適合は40%ちかくあった.MPO-ANCA陽性と上気道2病変を基準とすると,90%くらい診断できた.
  • ANCA関連血管炎性中耳炎(Otitis Media with ANCA associated Vasculitis: OMAAV):頭痛や耳痛が頑固である.
  • 肥厚性硬膜炎(海面静脈洞近傍)⇒頭痛や脳血管障害.硬膜生検が必要.
    ②脳底動脈の血管炎⇒くも膜下出血
    ③20%はANCA陰性,44%に顔面神経麻痺,25%は肥厚性硬膜炎に移行(頭痛,脳神経障害),6%にくも膜下出血.
    OMAAV診断の流れ
    頭蓋内肉芽腫,顔面神経麻痺,肥厚性硬膜炎⇒両側高度感音性難聴やSAH

<舌下免疫療法(SLIT)>

  • 在宅療法で可能.致死的副作用ない
  • 最低2年間は,毎日投与11月以前から投与が望ましい.2週の増量期を経て,3週以降は維持期.冷蔵保存.
  • 舌下吐出法(30%は吐き出されるが,アレルゲン血中濃度に差はない)と舌下嚥下法がある.
  • 現状では,スギ花粉アレルゲン量濃度を増やせないので,“通年性”が選択された.CAP-RASTスギ陽性例に絞る(スギCAP-RAST陰性例には行わない)
  • 2割:とても良い,4割:良い,6割:まあまあ,の印象.
  • 比較:抗ヒ剤より効果はあるが,現状では皮下免疫療法(SCIT)の方がより効果がある.よって皮下注をやめるメリットはない.
  • いつから?:スギ花粉飛散開始の3ヶ月以上前から治療開始したい.関東以西では7月ごろから.1月になってしまったら,来年にもちこす(飛散時期には絶対行わない).
  • 3年で終了群と4年で終了群で差がでてしまった.よって,少なくとも4〜5年間は治療したい
  • βブロッカー服用中,エピネフリンによる副作用のリスクが高い心疾患,妊娠中,重症喘息,重症免疫不全,精神障害は適応外.12歳以上が保険適応(5歳未満におけるSLITの安全性は確立していない).個人的には重症アトピー性皮膚炎患者にも行わない
  • SLIT中はβブロッカーは禁止セレスタミンであれ原則ステロイドは回避する.点鼻,点眼ステロイドは可能.個人的にはステロイド内服症例は適応外にしている.
  • 1年<2年<4年と経年的に効果が出る.3〜4年経つと効果の上積みはない印象.
  • 悪化したら,SLITでブーストをかけると効果が持ち直す.
  • ヒノキの時期に悪化する人が多い(特に西日本)
  • 個人的な印象では,小児にも効果ある.
  • SLITは喘息の二次予防になりうる.
  • 喘息にはよい.アトピー性皮膚炎やOASにSLITが有効であるという報告はない.
  • SLITは死亡例なく,アナフィラキシーも稀であるが,軽症の副作用はSCITよりも多い.口腔内症状(かゆみ,腫れ,違和感,刺激感),鼻炎誘発,咳,胃腸炎など.
  • 口腔内症状は,抗ヒ剤前投与で消失した例,のどの違和感は数回使用した後に消失した例,咳が舌下のたびに起こるのでSLIT中止にした例,などがある.
  • SCITからSLITへ変更するメリットはないSCITが効かない人にSLITは効かない.しかし,SCITを中止した人が再燃した際にSLITは魅力的.
  • 2年で効果が乏しい例は無効例かもしれない(10%は無効).しかし3年目に効果がでた例もあるので・・・.
  • 完全に治る人が多いわけではないが(20%くらいは治る),よくなることが多い.
  • ステロイドは原則回避だが,アレルギー性鼻炎治療薬の併用はSLITに影響しない
  • 治療前に有効・無効例の予想は現時点ではできない
  • 現時点では,効果判定の検査法はない.
  • IgEや好酸球は変化するが,大きくは変わらない.
  • SLITスギエキスが2014年に発売ダニは2016年以降の認可を目指す
  • 個人的には,喘息のステロイド吸入は問題ないだろう.一時的なステロイド使用は仕方がないだろう.
  • 軽い副作用ならば,中止せず,増量は予定通りに行う.

<SLITを中心とした免疫療法講習会>

  • 副反応:
  • 1)SCIT:0.13%(アドレナリン使用),12年間で41例死亡(250万回に1人).ほとんどが喘息で重症コントロール不良例.80%が30分以内に症状出現.
    2)SLIT:アナフィラキシーやアドレナリン使用の報告なし.
  • アレルギー性鼻炎に対して:
  • 通年性はダニやハウスダスト,季節性は花粉が原因.SLITをやる前に必ず原因抗原は明らかにする.皮膚プリックテスト,皮内テスト(これらの前に抗ヒ剤は7〜10日中止),CAP-RAST.
  • SLITは,花粉やダニが原因のアレルギー性鼻炎例が前提であり,症状に合致したアレルゲン検査陽性例.
  • 舌下後は少なくとも2時間は入浴や運動は避ける.飲酒も避ける.
  • 投与を忘れたら,同日ならばその日のうちに,翌日ならばその日の分のみ使用(2日分使用しない).
  • SLITは半年で50%くらい脱落するという報告がある.スギが対象であるため,花粉が飛んでいない時期にモチベーションを保てない.よって教育が大切である.
  • 副作用としてのアナフィラキシーの背景:喘息合併,ラッシュ法施行時,女性,花粉飛散ピーク時,など直ちに〜30分以内に多かった.
  • SLITで致死的な副作用報告ない.アナフィラキシーはSCIT 1.25%,SLIT 0.025%である.
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