6.アトピー性皮膚炎
- 鑑別
亜鉛欠乏症候群(乳児。母親の亜鉛少なかった。)、皮膚筋炎、脂漏性皮膚炎、主婦湿疹、貨幣状湿疹、アレルギー性接触皮膚炎、ネザートレ症候群、乾癬など。
- アレルギー反応かゆみ
バリアー異常⇒慢性皮膚炎⇒ドライスキン
環境因子IgE上昇、TARC高値
- TARC(TARC/CCL17):Th2細胞への皮膚への遊走活性化に重要(TARCは特に皮膚内に強く発現しているcytokine。CCR4陽性Th2細胞の走化・活性化。
- TARCの特徴:①皮膚炎症のマーカー、②アトピーの重症度と相関する、③数値の幅が広い(悪化と寛解でLDHでは2倍だが、TARCでは10倍)、④効果判定に有用。
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⇒①フィラグリン、②皮脂、③角質細胞間脂質
(セラミド、脂肪酸、コレステロール)
表皮顆粒層のプロフィラグリンがフィラグリンに変化
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ADでFLG遺伝子が発症に関与(18〜46%)。FLG変異群でバリア機能障害が強い群で皮膚炎の重症度が高い。フィラグリンはアレルギーマーチの予後因子にもなりうる??。
- バリアの欠損は皮膚の炎症を引き起こす:ネザートン症候群
LEKT1欠損→角層が剥離→ケラチノサイト(顆粒層)、TSLP↑→DC↑→Th2↑
↑TARC↑
- アトピー性皮膚炎治療の考え方:
免疫学的異常=バリア異常 同等に考える。
- ステロイド:very strongでは1日1回でも複数回でも差はない。弱いものは1日2回など複数回のほうが効果ある。ステロイド+ワセリン(保湿1日2回は大切)。
- 保湿剤:持続的に外用すると皮膚炎悪化までの期間が延長する。
①入浴後できるだけ早めに塗る
②皮膚が乾いた後に、肘、顔面、発疹の強い部位に十分に塗る
③外出時に乾燥しやすい部位、かゆみの強い部位に塗る
※軽微な皮膚炎は保湿剤のみで改善することがある。
2歳未満では食物(卵、牛乳、小麦)、乾燥が悪化因子。
- タクロリムス軟膏:
①分子量が大きく正常皮膚には吸収されない
②皮膚萎縮を生じない
③バリア機能を低下させない
④強い止痒効果がある
0.1%タクロリムス軟膏はフルチカゾンと比較して有意に皮膚炎改善する。
成人では1回5g、1日2回まで。小児では0.03%軟膏を年齢に応じて(2-5歳は 1g/1回で1日2回まで)。びらん部などには用いない。
- Proactive therapy(寛解時に、皮疹の再燃していない部位に外用薬を間歇的に塗布する方法):小児アトピー性皮膚炎患者で0.03%タクロリムス軟膏の間歇的外用療法は皮膚炎再発を抑制する。
- ADのかゆみには抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬が有効:12週間連続投与のほうが間歇的投与より効果が高かった。
- シクロスポリン内服:最近重症ADに対して保険適応。16歳以上で8〜12週以内で、悪化しているときに一時的に用いる。外用薬に併用。0.5-1mg/kg/日を目安に増量する(ただし、5mg/日を超えない)。
- 心理的社会的ストレスがAD発症、増悪に関係している。
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