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第90回 間質性肺疾患研究会 (2014年10月17日東京)

「上葉肺線維症〜いかにして特発性と診断するのか?〜」

背景として,1992年上葉優位型間質性肺炎として“網谷病”が報告され,2013年ATS/ERSの特発性間質性肺炎の合同ステートメントとして,“希少型特発性間質性肺炎”の項目に,特発性LIPと共にIdiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis(PPFE)が記載された.

Taryn L. Reddy et al. Pleuroparenchymal fibroelastosis: a spectrum of histopathological and imaging phenotypes. ERJ 2012; 40: 377-385.にPPFEが詳しく説明されている.

以下論文のサマリー:

a) Definite PPFE: there was upper zone pleural fibrosis with subjacent intra-alveolar fibrosis accompanied by alveolar septal elastosis.

b) Consistent with PPFE: intra-alveolar fibrosis was present but it was not 1) associated with significant pleural fibrosis, 2) not predominantly beneath the pleura or 3) not in an upper lobe biopsy.

c) Inconsistent with PPFE

②HRCTにおける”Definite PPFE”は,上葉と主として胸膜直下の線維化と関連した胸膜肥厚を示す(下葉は少ない,もしくは認めない)像であるが,”Consistent with PPFE”のHRCT像では必ずしも上葉中心でなかったり,他の間質性肺炎の像を呈する(たとえば,UIPやNSIPパターン)ことがある
病理学的には12例すべてにIAFE (intra-alveolar fibrosis and elastosis)が認められ,11例に胸膜の線維化がみられた.

③診断までに症状を有していた期間は,6か月〜6年(平均2年8か月).

④12例中5例はpleuroparenchymal changeとは離れた部位(中葉や下葉)にHRCT上,NSIPパターン,possible UIP(と放射線学的に考えられる)パターン,unclassifiable IPを認めた

診断時は上葉のみの陰影だったが,42か月後に下葉に著明な線維化が出現してきた症例があった

⑥他の部位(上葉以外)に,HRCTではNSIPパターン,possible UIPパターン,diffuse PPFEパターンを示した3例の生検の結果,病理学的にUIPの存在が認められた(25%)

⑦経過観察できた10例のうち7例は進行した.5例はPPFEの診断から4か月から2年で死亡した.

⑧PPFEは日本の報告が多い.とくにUIPなど他の線維化の併存の報告は日本に多い.

⑨特発性と考えられる中でも関連があるかもしれない病因:

1) 繰り返す感染.特にABPA,アスペルギローマなどアスペルギルス感染.PPFEの経過中に起こりうる.繰り返す炎症による傷害はIAFEパターンを引き起こすかもしれない.ABPAや嚢胞性線維症患者において局所的な胸膜肥厚が起こると報告されている.

2) 免疫学的機序自己免疫性疾患骨髄移植)との関連.

3) 遺伝的要因

IAFEはPPFEに特異的ではない.感染,放射線療法や化学療法後,あるいは吸入による傷害でも起こる.

積極的な治療(ステロイド,免疫抑制剤)を行っても,進行性である

以下研究会の内容〜.

SessionT(症例報告):

・48歳,1年8か月で呼吸不全で死亡.強直性筋ジストロフィーの合併例.扁平胸郭+側弯+神経筋疾患⇒VC低下⇒二次性PPFEといっていいものか.上葉優位線維症でFVC低下,DLCOははじめは低下していない⇒神経筋疾患がどこまで関与しているかはわからないが,このような上葉優位型線維症をみたら,一度は神経内科に診てもらっている

・44歳で生体弁による心臓弁置換術⇒1か月後からDOE⇒4年で陰影増強,DOE MRC3.

・72歳,4年11か月でDOE増強.BALFでは好中球59%,Asp.niger検出.2年でVC1.36L→0.69L.病理では上葉は無気肺硬化を主体とする肺線維症,下葉はUIP/P(画像ではhoneycombなど陰影ははっきりしないが).UIP/Pの関与が議論になった症例.
PPFEとUIPはワンポイントの画像および病理では決められない途中でDLCO低下してきている.PPFEは6MWTなどはしばらく落ちないので,この例はUIP関与が大きいのではないか

・60歳,呼吸リハビリを行い,74日でVC 0.98→1.25Lと増えた.1年はFVC維持できたが,454日で死亡.病理はPPFEの所見もあるが,繰り返すOPの経緯もあり,多彩なOP所見.一部壊死性空洞がある.病原体は検出されず,GPAの所見もはっきりしないが,このようなギザギザの空洞はGPAが多い
リハビリは途中気胸を起こすこともあるが,この例をみると積極的に適応していくのもよいのではないかPPFEは“るいそう”になってくるので,NPPVを夜間に使う検討も必要かと思う.

・63歳,5年間NTM症疑いであった.9年でDOE進行し,治療,VATS施行⇒VATS施行,4か月後に急性増悪で死亡.病理はPPFE+UIPに加え,proliferable BO,constrictive BO,OPなど多彩な像.PPFE部のfibroblastic foci(FF)は少,下葉は多くUIP/Pに近い所見.PPFEの急性増悪の報告は2001年日呼吸誌に1例あったのみであった.PPFEとBOの関連は?⇒膠原病や移植などの背景が言われるが,不明.
PPFEのUIP合併は重要と思う.この例も急性増悪の病変は下葉に広がっている.PPFE単独ではなく,PPFE+α(UIP/Pなど)がおそらくmajorityである.この症例ではFFが多いところが急性増悪したかもしれないが,症例集積が必要.

・62歳,3年後にVATS,さらにその3年後に急性増悪にて死亡.下葉に陰影,さらにhoneycombもでてきた.上葉から病変がはじまったのでPPFEとしたいが,IPFなのか,IPF⇒+UIPとするのか.今の分類ではunclassfiable IPとした.

SessionU(移植との関連):

・45歳.再生不良性貧血.2000年に同種骨髄移植⇒8年後に両肺が収縮し,その4年後にVTAS.2000年はVC 3.39L→2013年は1.69L.

・39歳.再生不良性貧血.1988年造血幹細胞移植,2006年空洞+上葉ちぢみ,2010年左上葉空洞,アスペルギローマ.ITCZ使用.

骨髄移植2-16年後のPPFEの報告は散見される.

・造血肝幹細胞移植に関連したPPFE.1) 19歳AML,移植,2年後に気胸,移植後3年後にDOE.2) 37歳MDS,23歳で骨髄移植,12年後に胸部レントゲン以上,その1年後DOE,2型呼吸不全で死亡.3) 43歳悪性リンパ腫→移植3年後に胸部異常陰影,移植15年後に気胸を併発.これらの例は前処置でシクロフォスファミド(CP)の使用が多かったそして,移植3-15年でPPFE.自家移植の例もあり,GVHDでは説明できない.CPによる肺障害として,CP数年後の晩期障害で胸膜肥厚がある.以前乳癌でCP使用して,PPFE病変が起こった報告があった.そのときの考察として,pneumocyte機能低下し,サーファクタント減少が機序かもしれない.

・43歳.8年前にALL,CP前処置,移植後180日で,慢性GVHD.ステロイド,CyA使用⇒移植後6年でCTにて上葉のちぢみを認めた.7年後にVATS施行した.
造血幹細胞移植後のPPFEのpro and con:
pro; 抗癌剤のよるPPFE,肺移植後のPPFE,con; 前処置が均一ではない,自家移植例もある.
⇒1つの原因では決められない.

移植後PPFEの発症として,シクロフォスファミド(CP),カルムスチン(BCNU)などのアルキル化薬の使用が報告されている.またチェックバルブとしてのBOがあり,その結果,胸膜病変が起こってくるとの報告もあった

SessionV(膠原病との関連):

・45歳,9か月で%VCが50%まで低下した.この例は初診2年で死亡するという,従来のPPFEの報告(中間生存期間11年)と比べると早い経過であった.抗Scl-70抗体が陽性であったものの,PSSの診断はついていない.

PSSの新しい診断基準(間質性肺炎,Scl-70,指病変)ができつつあり,9点でPSS.それも今後は参照してもらいたい.

・77歳,1999年抗核抗体640倍,2008年上葉に線維症出現,2013年誤嚥性肺炎で死亡.
病理は上葉に気腔内埋め込み像〜無気肺硬化型線維化あり,PPFEの典型像であったが(PPFEは新しいところは気腔内埋め込み像で,古くなってくると胸膜に影響し,elastosisすなわち膠原線維が増えてくる,というのが一連の変化),しかしこの症例はリンパ球集簇,リンパ濾胞の散在,広義間質病変などがあり,膠原病由来とした像であった.
⇒この例はPPFE+膠原病IPあり,unclassfiable IPとするのがよいのでは.
⇒SLEの既往があるとのことだが,PSL 30mgで良くなるSLEではないのでは?.しかし指のジャクー変形はSLEに特徴的なので,SLE類似の病態ではないか.

上葉に陰影があるからPPFEを容易に使うべきではない上葉にPPFE様の陰影があり,かつ下葉の病変がある例もある.PPFEは有効な治療がないかもしれないが,IPFにはピレスパ,ニンテダニブ(BIBF1120)という選択肢があるわけで・・・⇒治療効果を合わせて病変は考える必要があるので,単なる分類論ではいけない

PPFEは初期はDLCOが保たれるが,VCやFVCが減ってくる症例が目立つ印象.“るいそう”との関連は?.

SessionW(多症例の検討):

PPFEでUIPパターンがでてくる症例も少なくないので,このことを意識しなければいけない

・8症例中6例は下葉への進展がみられた.8年弱で上葉から下葉へ進展する例も.亡くなるまで平均3.75年.UIPになった例は誤嚥の関係があったか?.なぜならば誤嚥はIPF(UIP)のリスクと考えられているので.潜在性甲状腺機能低下症〜橋本病などの併発が少なからず認めたが,原因は?.

・この検討では6か月で悪化した例を検討した(おそらく予後が悪いPPFE).3年生存率は40%弱と予後不良群(2例は急性増悪で死亡).これらは生検・非生検群で臨床像,画像,予後に差は認めなかった.PPFE+UIPなどは海外で聞いてもピンとこないようだ.
⇒例えばIPFでVCあるいはFVC悪化が予後悪いわけだが,PPFEでも画像だけでなく,肺機能でも観察していただきたい.

網谷病≒PPFEとされているが,PPFE⊇PPFE+UIP or NSIPであり,これらの群は本当に網谷病とイコールなのか?.この検討では病理でUIP/Pとされた群でも典型的なhoneycombはなかった.病理では,肺胞のたたみこみによる無気肺+弾性線維の凝集.

PPFEにおけるTBLBの意義は?⇒胸膜直下に強いelastosisを採取するのは困難であるし,除外診断が主と思う

・この検討では,PPFEは12/8と女性に多かった.BMI↓,気胸↑,KL-6は正常上限〜軽度上昇にとどまる,DLCOも早期には低下しない,PaCO2↑,VCおよびFVC↓,RV/TLC↑.CPFEはFVCは保たれる傾向にあるが,DLCO↓.Clinical IPFと比べ,PPFEはFVCがある一点をこえると2型呼吸不全を呈し,予後が悪い.網谷先生はIPUFは10〜20年で緩徐進行としているが,ある一点を越えると医療機関受診するので,そこから急速に進行する印象.

PPFEは決してレアではなく,予後が悪いきちんと日本から情報発信していく必要がある

・PPFE様のCHP(胸膜肥厚する)もある.上葉優位のCHPはVC↓であり,治療効果が悪い印象.

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