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第38回 日本呼吸器内視鏡学会学術集会
(2015年6月,東京)

<肺癌の新しい病理分類>

・WHO2015新分類.腺癌における浸潤の有無における上皮内腺癌,微小浸潤癌,浸潤癌という分類,および免疫染色の広範な導入,そして,4大分類が,腺癌,扁平上皮癌,神経内分泌腫瘍,大細胞癌となったことがポイントである.1)腺癌,2)扁平上皮癌,3)神経内分泌腫瘍について述べる.

1)腺癌について

・概要:

①浸潤の定義が問題になった.②BACはAdenocarcinoma in situ (AIS)へ.③前浸潤病変の2つ(Atypical adenomatous hyperplasia(AAH),AIS)と微小浸潤腺癌(Minimally invasive adenocarcinoma)とinvasiveの3段階.④invasive sizeを設定(腫瘍全体径ではなく,invasive sizeが腫瘍の実力と考える).

A)浸潤について:
  • invasiveとは何か.定義が難しい.全体の大きさから,lepidic(鱗状の)な部分を除いた部分をinvasive sizeとした.
  • Spread Through Alveolar Spaces(STAS)という肺腺癌周囲肺胞腔内の増殖部分はinvasive.
  • Scarは難しい.EVG染色で肺胞構造が保たれている,疎な線維化はnoninvasive.
  • AAHは細胞の異型が強いものはあっても,細胞間が空いている.
  • AISはAAHよりもずっと密になっている.
  • 疎な線維化により肺胞が虚脱した早期腺癌は,硬化型AIS(AIS, sclerosing type)であり(この改訂以前はsclerosing BACと呼んでいた),5年生存率は100%,野口分類でいうtype Bに相当する.こうした腫瘍を欧米の病理医は腺房腺癌(Acinar adenocarcinoma)と診断することが多く,浸潤所見の解釈の違いがあり,欧米と日本で予後の差が生じている可能性がある.
  • Minimally invasive adenocarcinomaは3cm以下であり,3cmを超えてはいけない.この一部はEVGで肺胞構造が保たれておらず,こうなるとinvasiveである.
  • どこまでをinvasiveというかはcontroversialであるが,AIS以外の形態を示すもの,肺胞内に乳頭状部分があるもの,micropapillaryを示す部分があるもの,など.
B)亜型について:Solid adenocarcinoma,乳頭腺癌,腺房腺癌(乳頭腺癌と腺房腺癌は一緒にしてはと提案したが,別々のものとなった).
  • Solid adenocarcinomaの定義が拡大され,免疫染色でTTF陽性,napsin A陽性ならばこの範疇に入れる.
  • micropapillaryをもつものは予後が悪い.微量でもあれば5年生存率は20%下がる.このことは,リンパ節転移がないearly stageのものに関して意味がある.True papillaryと対義であるが,個人的にはmicropapillaryはpapillaryの一部と考えている.
C)腺癌のvariationについて:
  • 粘液癌(Mucinous adenocarcinoma):①Adenocarcinoma in situ, mucinousはこれ.AISのうちmucinousは1/10の頻度.②これまでのBAC, mucinousの大部分はここに入る.③Colloid adenocarcinoma:癌細胞の周囲に粘液結節ができているもの.

2)扁平上皮癌について角化がなくても扁平上皮癌と定義が変わった.

・概要:

亜型は4つ.角化型扁平上皮癌(これまでの扁平上皮癌),非角化型扁平上皮癌(これまでのLarge cell carcinoma with positivity of high MW keratin or p40 (or p63).),基底細胞様扁平上皮癌(大細胞癌の亜型としてのbasaloid carcinomaと扁平上皮癌の亜型としてのbasaloid squamous cell carcinomaを含む),Squamous cell carcinoma in situ(これまでと同様).

  • 扁平上皮癌マーカーがでてきた:p40,p63,CK 5/6,CK34βE12.⇒迷った症例:CK34βE12陽性,p63陽性,p40陽性だったが,手術して切除組織をみてみたら,Acinar adenocarcinomaの部分あり.以前の分類ではAcinar adenocarcinoma, poorly-diff., with signet ring cellsとなったであろうが,新分類ではこの低分化癌は腺扁平上皮癌と診断される.
  • とはいうものの,SCCマーカーは,実は基底細胞マーカーである.基底細胞に陽性で,扁平上皮への分化とともに消失するので,このことに注意する必要がある.
  • 腺癌マーカーにも注意する.TTF-1やnapsin AはいわゆるTRU型肺癌(日本では1/2〜2/3)のマーカーである.KRAS陽性である非TRU型では陰性であるので,腺癌マーカーが陰性だから腺癌ではない,とはいえないことに注意する.

3)神経内分泌腫瘍について

・概要:

小細胞癌が大分類からはずれ,①腺癌,②扁平上皮癌,③神経内分泌腫瘍,④大細胞癌,となった.神経内分泌腫瘍の亜型は,小細胞癌,大細胞神経内分泌癌(LCNEC),カルチノイド,前浸潤病変(DIPNECHといって稀)の4つ.

  • しかし,小細胞癌,カルチノイドの名称を廃止すべきでないという病理医の意見が主流.
  • LCNECとsmall cell carcinomaの抗癌剤感受性は同様で高いと思うが,コンセンサスは得られておらず,日本の病理医は核が大きいものは(欧米ではsmallとされるものが)LCNECとされる傾向にある.よって日本のペーパーでは,LCNECはsmallと同じ高い感受性があるといってもバイアスがかかっている可能がある.

4)大細胞癌について

  • これまでは“waste bascket”であったが,免疫染色の導入により,①腺癌の性質をもたない,②扁平上皮癌の性質をもたない,③小細胞癌でもない,④そして,分化が低く,充実性の癌,特定の構造をもたない,ものが診断されることになった.
  • たとえば,従来の分類で大細胞癌とされていたケースでも,あとで免疫染色をやって,TTF-1陽性,napsin A陽性であれば,腺癌とされる.

5)生検などの小さな検体の診断(免疫染色は行う)

  • たとえばTTF-1陰性,napsin A陰性で,CK34βE12陽性,p40陽性ならば,NSCLC, favor Sqccとする.

<肺癌個別化治療における診断の重要性>

  • 肺癌やメラノーマは遺伝子変異が多いがんである.
  • EGFR変異の検出は細胞診でも可能であるが,ALK(Anaplastic Lymphoma Kinase)遺伝子転座の検出は組織(FISH,IHC,※PCRは細胞診でも可能)が必要である.
  • EGFR変異は,日本人肺腺癌の40-50%に認められ,エクソン19の欠失変異(49%)とエクソン21コドン858のロイシン→アルギニン変異(L858R)(50%)の両者で90%以上であり,これらのEGFR-TKI奏効率は70-80%に上る.
  • 第2世代ALK阻害薬のアレセンサ(Alectinib).少なくとも2次治療で使う.
  • Diriver oncogeneを有するものはいずれ耐性化してしまう.EGFR変異は耐性変異としてT790M二次的遺伝子変異,Met遺伝子増幅,肝細胞増殖因子(HGF)の過剰発現などがある.T790MとMet遺伝子増幅が同時に検出されることはほとんどないが,HGFは同時に認めることが少なくない.耐性変異としては,T790Mが多い(50数%).またクリゾチニブはたくさんの耐性変異の報告がある.薬によって耐性変異が異なるのがわかってきた.
  • ザーコリ耐性にアレセンサを使うと半数が1年くらい有効と今年のASCOで報告された
  • 第3世代EGFR-TKIはT790Mに効く(NEJMにAZD9291の報告あり.T790M耐性変異例で奏効率61%,PFS中央値9.6ヶ月.Janne PA, et al. NEJM 2015; 372: 1689-99).
  • 耐性化した際に,Re-biopsyを行い遺伝子変異を確認することが必要な時代になる.大きな組織検体(FFPEと新鮮凍結検体)が大切.
  • immunotherapyについて:immuno-check pointに作用する薬が早くて年末には使用できる.Cancer target PD-1.抗PD-1抗体,とくに抗PD-L1抗体のNivolumabが注目.一度効くと長い効果が期待できる.セカンドラインでDOC vs Nivolumab→Nivolumab優位でアメリカで認可され使用されている.バイオマーカーは,PD-L1-IHC??(PD-L1が多く発現している組織)がどうか.
  • EBUSが中枢,末梢に多用されているが,どうしても大きな検体をとることが難しいことがある.従来のやり方も大切.
  • 大きな鉗子で,テンションをしっかり鉗子とファイバーはまっすぐに,そしてゆっくり噛むという基本を確認.そしてCTで病変に行き着く枝をよく確認する.上肺野の腫瘍は肺門(下方)から関与する枝が最適であるし,下肺野の腫瘍には上方から関与する枝が最適である.内腔所見でつぶれている気管支から入れるとどうしても腫瘍の辺縁をかするだけのことも少なくない.
  • ガイドシースではなくて,キュレットでguideし,ファイバーはそのまま,鉗子を再挿入し,生検することもある.TBACも.
  • Re-biopsyは線維化が強く,腫瘍細胞が少ないので大きな組織を採取する努力が必要.時にCTガイド下生検やVATSも検討する.

<末梢EBUS>

  • 気管支壁は5層構造とされるが,実は7層である.第4層(最外層の低エコー)だけでなく,第3層(高エコー)も合わせて,軟骨層.
  • pure GGOはプローブ周囲の不規則な点状エコーであり,末梢EVUSが責任枝の同定に役に立つことも.
  • Dopplerは人の名前.Dは大文字.
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