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第64回 日本アレルギー学会学術大会
(2015年5月,東京)

<特異的IgE検査の活用>

A)アレルゲンコンポーネント

①小麦:
  • 小麦は非グルテンである可溶性分画とグルテンである非可溶性分画に分かれ,さらに非可溶性分画はアルコールに溶けるω-1.2.5グリアジンに代表されるものと,アルコールに溶けないグルテニンに分かれる.すべてコンポーネントは分かっていないが,ω-5グリアジン(保険適応)はその代表である.
  • ω-5グリアジンは,qqfpqqをたくさんもち,システイン残基をもたないので,強いアレルゲン性をもつ.
  • プロバビリティカーブについて:
  • 小麦はクラス1,2ならば,ほぼ問題ないが,高値でも80%程度が頭打ちであり,確定は難しい.一方,ω-5グリアジンは,陰性でもアレルギーは否定できないが(小麦アレルギーの約20%は陰性になる),クラス3(3.5-17.5)では85%以上の陽性的中率であり,食物負荷試験をするかどうか考えるところでありクラス4以上になるとほぼ100%の的中率(食物負荷試験で陽性になる)であり,食物負荷試験は不要である(クラス2は食べられるかもしれない).
  • 特異的IgE抗体価は重症度と緩く相関するため,抗体価では重症度は決められない.経口負荷試験で判定する.
  • 耐性獲得でω-5グリアジンの抗体価は低下してくるので,予後予測ができる.一方,小麦IgE抗体価は下がらなくとも,耐性獲得する例もある.よって,ω-5グリアジン陰性になって,負荷試験をして,小麦摂取が可能かどうか決める判断に使うことができる.
②ピーナッツ:
  • 大豆に近い.ナッツはクルミ科,ウルシ科などいろいろ異なる.ピーナッツとの共通抗原をもつものは大豆を考え,他のナッツとは異なる(ナッツ種類ごとにそれぞれ異なるアレルゲン性).
  • ピーナッツのコンポーネントでは,Ara h 2(2Sアルブミン)(保険適応)が最も診断率が高い.ちなみにAra h 1は4Sアルブミン.
  • ピーナッツIgE:50 UA/ml以上はピーナッツアレルギー(PA)が多いが,non PAもいる.
  • Ara h 2 IgE:4 UA/ml以上はほぼPA(95%陽性的中率).プロバビリティカーブはきれいな曲線を描く.しかし,PAの15%程度はAra h 2 IgEは陰性を示すことに注意.
  • Ara h 2は大豆とは交差反応しない.
  • Ara h 2やピーナッツIgE抗体価は重症度を反映しない

B)成人におけるアレルゲンコンポーネント

  • FDEIAは小麦61.7%,エビ・カニ12.6%,果物7.4%.特にWDEIAにはω-5グリアジンを測定する.WDEIAにおけるイムノキャップ陽性率は,グルテン51.1%,小麦44.4%と低いが,ω-5グリアジンは,WDEIAの79.6%に陽性.
  • 皮膚よりとある石鹸に使われていた加水分解小麦が入り,感作されて生じたアレルギーには,ω-5グリアジンは役に立たなかった.加水分解小麦型と通常型の感作抗原の違い.
  • 通常型WDEIA:80%ω-5グリアジン陽性,37%グルテン陽性,31.4%小麦陽性,一方,加水分解小麦型WDEIA:6.6%ω-5グリアジン陽性,しかし,グルテンは76.6%,小麦は70%に陽性であり,むしろ通常型WDEIAと逆パターンであった
  • ω-5グリアジン陽性率は年齢によって異なる:20歳以上の通常型WDEIAは95%で陽性となるが,20歳未満では43.7%しか陽性にならず,詳細は不明だが,小児では感度がおちる.
  • 20歳以上でも5%は陽性にならない.WDEIAでもω-5グリアジン陰性であることがあり,小麦・グルテンIgE陽性の加水分解小麦型のパターンを示すフェノタイプが存在する
  • まとめ:①小麦,グルテン,ω-5グリアジンをセットで調べる,②経皮感作(加水分解小麦)はω-5グリアジンが陰性になりやすい,③小児のWDEIAではω-5グリアジンの感度が低い,④成人WDEIAの一部にはω-5グリアジン陰性例が存在する.

C)果物・野菜アレルギーのコンポーネント

  • PR-10ProfilinGRPが重要である.
  • シラカンバのBet v 1に感作され,PR-10をもつセロリ,サクランボ,モモ,リンゴなどにアレルギーを起こすことが知られている.
  • カバノキ科(ハンノキ,シラカンバ)→リンゴ,モモ,メロンなど.
    ヒノキ科(スギ,ヒノキ)→トマト.
    イネ科(カモガヤ,オオアワガエリ)→メロン,スイカ,キウイ.
    キク科のヨモギ→セロリ,ニンジンなど.
    キク科のブタクサ→メロン,スイカなど.
  • 原則:症状+プリック・プリックテスト陽性(+経口負荷試験陽性).
  • しかし,粗抽出抗原によるIgEはあてにならず,OASでは負荷試験もあてにならない.よってコンポーネント解析による病態把握が必要になってくる.
  • 1) PR-10→バラ科,マメ科→OAS.
    2) Profilin→ウリ科(メロン,スイカ),トマト,オレンジ,バナナ→OAS.
    3) LTP→バラ科→アナフィラキシー(An).
    4) TLP.
    5) GRP→バラ科,柑橘類→OAS,An.
①PR-10 allergy syndrome:
  • カバノキ科であるシラカンバ(北海道),オオバヤシャブシ(近畿),ハンノキなどのBet v 1などのメジャーアレルゲンにより感作→バラ科90%以上マメ科50%キウイ20%,ヘーゼルナッツ?%,セリ科10%以下.
  • リンゴのアレルギーであっても大豆などマメが大丈夫か問診する.
  • 豆乳(大豆,Gly m 4)やビワはアナフィラキシーを起こすことがあるので注意.
  • PR 10 syndromeでもバラ科のOASなどのタイプと,豆乳→アナフィラキシーのタイプと2パターンある.
  • 成人発症大豆アレルギー(豆乳アレルギー)の診断にはGly m 4 IgE抗体価が有用.ほぼ100%陽性になる.
  • 加熱で抗原性低下(煮豆,みそ,納豆,油通し,豆腐などは大丈夫など.)
  • 5-6月には特に食事に注意→カバノキ科の花粉飛散時期(ブースター効果).
  • カバノキ科の花粉症は,のどの痛み,咳が強いといった特徴がある.
②Profilin allergy syndrome:雑草花粉症例
  • Profilinは軽い症状と言われるが,必ずしも軽くない例もある.
  • OAS,加熱したものでもOK.
  • メロン柑橘類スイカトマトバナナきゅうり
  • 雑草花粉内のProfilinが多い.通常の雑草花粉がProfilin感作の主原因と言われている.
  • スペインからの報告→精製Profilinを用いて,重篤なGrass Allergy患者においては極少量でも重篤なアレルギー症状が惹起されたという報告(平均7.4μg).メロンでいうと3gぐらいの量(2.9μg/g),トマトだと4g弱(2.1μg/g).
  • イネ科,ブタクサ,ヨモギの花粉症ありメロンで症状がでること多い.OASだが,アナフィラキシーもありうる消化管アレルギーを起こすことが多い.花粉飛散時期に多い.
  • ウリ科(メロン,スイカ,きゅうり,など)トマトアボカドパインバナナなども.
  • 実際は,PR-10とProfilin allergy syndromeが合併していることも少なくない
③GRP allergy syndrome:
  • 最近の話題.
  • Gibberellin-regulated protein = Peamaclein,Pru P7.
  • ジャガイモ大豆ブドウモモなど.既知のものでは説明ができないモモアレルギーで同定された.
  • 自験例,PR-10 allergy syndromeでは説明がつかないモモアレルギー患者の検討.⇒モモはOAS,An.リンゴでも症状あり.オレンジやミカンでも多い.⇒いろいろなフルーツで症状あり.
  • バラ科梅干し柑橘類で症状→OAS±全身症状FDEIA型.感作弱い印象(例えば,モモはプリックテストの感度が良くない).しかし,梅干しのプリックテストの感度は高い.
  • FDEIAを起こしやすい果物のプリックテスト(?)が陽性だった人は,運動前バラ科など除去ということにしているが,普段の時は食べられるので相談して方針を決めている.

<遺伝性血管性浮腫(HAE)>

  • むくみの場所→皮膚の深いところ(よって境界が不明瞭).数時間から数日で消退し,何度も繰り返す.物理的,精神的ストレスで誘発される.
  • クインケ浮腫の中に,HAEがある.
  • HAEV型はHAE with normal C1-INHと名称が変わった.

A)HAET型およびU型について:

  • 遺伝性機序(ヘテロ)によるC1インヒビターの機能低下が原因で,局所的なブラジキニン産生によって症状が起こる.
  • 常染色体優性遺伝(70-80%)de novo変異(20-30%).5万人〜10万人に1人.人種差なし.
  • T型:C1インヒビター産生低下(85%)U型:C1インヒビターの機能低下(15%)
  • C1インヒビターの主要産生臓器は肝臓.C1-INH遺伝子は第11番染色体上に存在.230ヶ所以上の変異の報告あり.
  • カリクレイン抑制が効かずに,ブラジキニンができるのが本態である.
  • 診断までに時間がかかることが多いが,20歳までにほとんどが初発
  • 現在まで本邦では140例のHAEの報告があり,30%は何らかのトリガーがあることがわかった.
  • むくみの場所は,四肢(94%)顔面(76%)陰部(63%)発作回数は四肢が圧倒的に多い(45%)
  • ときに腸間膜浮腫が起こり,とても強い腹痛が症状になる
  • つねにC4は低下(発作時はさらに低下する).C4はすぐに結果がでるので参考になる.
  • 本邦のアンケートの結果,初発平均24.7歳,診断まで13.7年,平均6.1回の発作頻度.重篤な発作や血縁者で血管浮腫による死亡例ありは11.7%.
  • 前駆症状として,50%くらいにたとえば膝などに輪状紅斑→その後に他のところに症状(口唇が腫れる,腹痛など).
  • 女性はエストロゲンによる血管浮腫の誘発も少なくない.
  • 欧米の基準で出てくるC1-INH蛋白定量は現時点では保険適応外である.
  • 血管浮腫の確認,家族歴の問診,C1-INH定性,C4検査が必須である.
  • 重症度と検査値の問題.例えば,低くても,“活性25%以下”と報告されるので,決めにくい.
  • D dimmerが発作時に上昇し,改善すると低下するという報告や,HAEの腹痛は発作時に白血球20000以上と左方移動が起こるが,これだけで判定は困難.

B)治療について:

  • ①難病申請,②発作時の対応(治療薬へのアクセス),③予防の手立て(トリガーを避ける,治療薬を試す).
  • 発作時の治療は,同意をとり,ベリナートP 20u/s+生食を徐々に静注(溶解は,活性が低下しないように,泡立てないように行う).50kgで2V.保険適応だが,1V=99202円と非常に高値.1回投与ではあまり効かず,2回投与することもある.HAEが明らかにあり,腹痛で来院した患者には,(原因は異なるかもしれないが)まず使っている.完全に症状が改善しなくても,患者が帰宅できると感じたたら,帰宅させている.

C)予防について:

  • 歯科治療など侵襲が小さなときは,ベリナートを確保しておいてから行う侵襲が大きな手術時では,術前にベリナートを使用し予備もとっておく
  • 長期予防に関しては,明らかな効果があるものがなく,困っている.苦肉の策で以下を用いる.
  • トラネキサム酸(トランサミン)30-50g/kgを1日2-3回(詳しい機序は正確にわかっていない).
  • ダナゾール(ボンゾール)(タンパク同化ホルモン).
  • これらは欧米では推奨されていない.効く人,効かない人がいる.回数は減らないが,ピークが少し軽いという人がいる.ダナゾールは保険の問題や,アンドロゲンなので女性に使うと無月経などの副作用の懸念がある.
  • HAE患者に投与が危険な薬物として,①エストロゲン製剤,②ACE阻害薬,③DPPW阻害薬(DPPWはブラジキニン失活化させる酵素の一つ).

D)HAE with normal C1-INH(以前のV型):

  • 女性,思春期に発症.エストロゲンが高いレベルで発症.
  • T型やU型よりも顔面や口唇,舌の浮腫が多い.
  • 前駆症状としての輪状紅斑は少ない.
  • C1-INHやC4,C3,C1qは正常.
  • XU因子遺伝子異常があるケースもある.
  • ブラジキニン拮抗薬が一番よいのだろうが,よくわかっていない.

<気管支喘息に対する新しい治療:Bronchial Thermoplasty(BT)>

  • 気道平滑筋の量を減少させる→気道反応性を減少させる.
  • 2000年より臨床研究が始まった.AIR2 trialにて増悪を減らしER受診頻度が減少,そしてそれらが5年間持続した.治療直後に,一過性に喘息増悪がある可能性があるが,1週間程度でおさまる
  • 行うためには,日本アレルギー学会専門医あるいは呼吸器専門医が判断し,呼吸器内視鏡専門医の指導のもと,Boston Scientific社のトレーニングを行う必要がある.
  • 外径5mm以下で,チャンネルは2mm以上のBF,例えばBF-P 290,BF-Q 290,BF-260など.BF-P 260Fは絶縁体対応がないので使用不可.
  • 以前に同一部位にBTを行った患者は禁忌である
  • 必ず入院下(欧米では日帰りだが)にて行う.ステロイドPSL 50mgを5日間を前投薬する(治療4日前から治療翌日まで)
  • スケジュール:(0)治療前後にスパイロメトリー.①右下葉〜3週間あけて〜②左下葉〜3週間あけて〜③両側上葉,の計3回.術者,助手,BTマッピング記録者の最低3名は必要.
  • 手技前の投薬:①PSL 50mg内服あるいは静注,②SABA吸入,③リドカインによる麻酔,④アトロピン筋注,⑤ミタゾラムやプロポフォールなどによる鎮静.
  • 右中葉は行わない(無気肺のリスクが高い)
  • 目視できるところから,カテーテルが接触できる中枢気管支へ.気管支径3-10mmくらい.
  • activation :65℃,10 sec.,マッピング5mm間隔(カテーテルのマーカーが5mm間隔になっている).Activationの回数は,平均で下葉45回,上葉65回行う1回の治療がだいたい1時間くらいかかる
  • 治療後のFEV1が前の80%以上あることを確認する.
  • 喘息の増悪以外の副作用:無気肺,喀血,共通,気道感染など.
  • FEV1は治療後1-3日は低下する(気道の浮腫などの影響).
  • 気管支狭窄拡張術10150点x3回で1273500円+入院費→3割負担でも一回に38万近くかかる.カテーテルも323000円と高額.ただ,オマリズマブは150mgが45578円なのでBTを3回=オマリズマブ28回分.これをどうとらえるか.
  • 適応は,呼吸機能低下は改善しないので,ある程度呼吸機能が保たれている人高用量ICS/LABAの人オマリズマブが無効ないしは使用できない人など.
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