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第92回 間質性肺疾患研究会
(2015年10月30日,東京)

「過敏性肺炎」

まとめ

臨床的に慢性過敏性肺炎(CHP)を疑っても確定診断は難しい.仮に抗体検査(ものによっては特定の施設に限られるという限界)が陽性であっても,臨床的確証すなわち,抗原回避で改善するのか帰宅誘発試験が陽性になるか,が大切である.ただし,どのような結果を陽性とするか一定見解がないのも問題である.臨床,画像からCHPを疑っても,SLBで合わない(例えばIPF/UIPの所見により合致するといった)所見を得ることもある.VATSでは肺の一部(隅)しか採取できず全体をみることができないという問題が関係しているかもしれない.臨床医,画像医,病理医のMDD(multi-disciplinary disccusion)が大切である.

治療をどうするか.抗原回避は当然として,ステロイド?.CHPの病理は多くはUIP/Pであることから抗線維化薬?.

A)SessionT種々の過敏性肺炎

1)みかん農家に発症したCHP.本例を含めて5例の報告はいずれも静岡(浜松医科大).冬季(12月〜2月)の発症・増悪を繰り返す.作業の中でも特に“選果”作業の時期に一致している.閉鎖空間で行うことが多く,環境真菌(ペ二シリウム,アスペルギルスなど)の関与が報告されている.

2)加湿器肺は,液体中のエンドトキシン吸入することによるALIHPの2つの機序がある.

3)慢性夏型過敏性肺炎の例.HPでは夏型が多いが,慢性型では少ない(慢性型の60%は鳥関連で,夏型は10-15%くらい)

4)1968〜2008年で木造建築は81.7→58.9%へ減少している.1990年〜2015年までに経験した夏型過敏性肺炎(SHP)25例を検討した.一般的にSHPは症状は8月が多く,増悪して入院は9〜10月がピークになる.1990年は7例,2010〜2014年は2例と減ったが,2006年に突出して多いピークがあった.日照時間が低下し,降水量が増加,すなわち降水量/日照時間比↑が関係していた(カビが発生しやすいのかもしれない).湿度との関連はなかった.2000年代になりCHPの原因として,鳥↑,イソシアネート↓,農夫肺↓だったが,SHPはacute〜subacuteが多く,これらには反映していない.神戸では震災後に木造建築が倒壊したせいか,SHPがぐんと減った.

5)羽毛布団使用歴があるMPO-ANCA関連間質性肺炎の例.MPO-ANCAは27.9 U/ml.SLBで気道沿いや胸膜下にリンパ濾胞多数あり.2015年10月までに無治療だが明らかな悪化なし.KL-6 5647 U/ml.CHPを経過観察していると膠原病肺がでてくることがある(特にMPO-ANCAなど)この例はKL-6が5000以上と著明高値であり,MPO-ANCA関連IPでここまでのはみたことがないのでCHP関与があるのではないか.この例はRFが陽性であるが,MPO-ANCA関連血管炎ではしばしばRFが陽性になることがある.

6)羽毛ソファー使用の鳥関連過敏性肺炎の例.この例は抗鳩糞抗体IgG 0.550(<0.3),抗鳩糞抗体IgA 0.45(<0.3)と高かった.ソファー破棄後も変化なく状態は悪化.環境誘発試験は行っていない.画像はpossible UIPであり,環境誘発は行っておらず,抗原回避でも悪化して,病理はUIP/P+focal NSIPと細葉中心性線維化でありCHPが否定できない所見でかつ抗体が陽性だとしてもこれをCHPとしてフォローしてしまうと抗線維化薬をどうするかが問題になってしまう.管理上はIPF/UIPとして管理し,抗線維化薬を検討したい,という意見があった.また抗鳩糞抗体IgGが0.5以上というのは高いが,誘発試験がない以上,これだけではHPとは言えない(鳥関連は羽毛布団だけとはいえない)という意見もあった.こういう抗体や病理ではCHPに矛盾しないながらも,抗原回避で改善せず,環境誘発試験が?な症例をどう考えていくか.

B) SessionU慢性過敏性肺炎の急性増悪

7)2度のCHP急性増悪により死亡した例.一度目のBALFからセファロスポリウム属,ペ二シリウム属の真菌が検出.数多くのHP症例がある東京医科歯科大でもBALFから検出したことはないとのこと.環境暴露が大きかったのか?.

8)急性増悪を繰り返した鳥関連CHPの例.環境誘発試験が陽性,抗PDE抗体が陽性.病理ではIPF/UIPを疑う所見であったが,臨床的にはCHP(VATSでは肺の一部しか取れないので,こういう乖離があるかもしれない).鳥接触が多い築28年木造建築.転居はしないながらも家族の家に移り,抗原回避したと思っていたが,一時帰宅を繰り返していた.やはり,抗原暴露が繰り返されることも急性増悪の引き金になる

9)以前にSLBにてCHPと診断され,18ヶ月後に肺胞出血および強皮症を発症した例.AUR/EULARの強皮症新診断基準では8点(9点以上で確定).爪郭部毛細血管異常,レイノー現象,抗RNAポリメラーゼV抗体陽性,間質性肺炎に関しては以前の病理所見ではCHPを疑う所見なので(羽毛布団使用歴,小葉中心性線維化病変+類上皮細胞肉芽腫),間質性肺炎をカウントに入れていない.腎障害もあったが,生検で血管炎や強皮症腎の所見なし.a)強皮症肺に肺胞出血を合併,b)CHPに強皮症と肺胞出血を合併した可能性を考えた.強皮症は肺胞出血は稀であり,あるとすると血管炎を合併した場合であるとの報告から,血管炎の存在を強く示唆する所見がなく,b)のパターンと考えている.

10)毎年6月という決まった時期に悪くなるCHPを急性増悪というのか.自分の経験では毎年8月に悪くなるCHPであったが,冬に増悪して死亡した例があり,こういう例は急性増悪と思うという意見あり.東京医科歯科大の先生は,いずれにしても増悪には抗原暴露が関与している例が多いとのこと.

11)CHPにはPPFE様の無気肺硬化像を呈することがある.CHPに伴う二次性PPFEとするかどうか.この例はfibroelastosisがどんどん進展していっていうるので,PPFEにCHPが加わったと考えた方がよいのではという意見あり.従来の網谷病の概念とPPFEはかなり乖離していることがわかったきた

12)CHPはスモーカーが少ない,低肺機能である,GGOが少ない,UIP/Pが多い(CHPの50%)急性増悪2年以内発症率は鳥関連慢性過敏性肺炎(CBRHP)-UIP: 11.5%,IPF-UIP: 9.6%と同等で,CVD-IPは1年発症率が1.3%であることを考えると多い.死亡率が80-90%と多いのもIPF-UIPと同様であるCHPの死因は急性増悪が50%,慢性呼吸不全が50%.では急性増悪を予知できるバイオマーカーはあるのか?.東京医科歯科のAJRCCMの報告で,血清CCL17濃度が予測因子になるという仮説がある.急性増悪2年発症率はCCL17高値 30.1% vs 低値 3.3%.fibroblastic fociを追うような上皮細胞からCCL17が出ている.背景にUIP/PのあるCHPにステロイドをどうするかという質問あり.従来の考え方のようにBALFでリンパ球が20%以上あるようなUIPはやはりIPF/UIPとは違うのではと思うので,リンパ球が多いものはまずステロイド,10%以下のものは抗線維化薬かと考えているという答えであった.また東京医科歯科大での吸入誘発試験に使う鳥糞抗原は,鳥関連はすべてに交差性があるので,同じ精製したものを使用しているとのこと.

C)SessionV慢性過敏性肺炎の診断と治療

13)14)保険適応外であるが,ファディア社からImmunoCAP Specific IgGトリ抗体(インコ,オウム,ハト)が発売された.健常は7.7±3.4 mA/L,全例17 mA/Lで,ハト14 mA/Lで感度94%,特異度88%,オウム18 mA/Lで感度94%,特異度93%,セキセイインコ7.5 mA/Lで感度94%,特異度97%という報告もあるが,鳥接触がないSLBをおこなったIP症例でも11.3〜56.6%と上昇する例があり,羽毛布団使用群も6.8〜50.7%の上昇で差がない.いろいろ検討しても差がない.正常群でも高い例も少なからず存在するうえ,逆にCHPであまり上がらない.この検査法は限界がある可能性がある

17)CHPの予後は平均生存50ヶ月くらいIPFと同様の予後.CHPの抗原がわかっている群とわかっていない群では不明群の方が予後が悪いという報告あり.抗原がわかっているものは回避だが,すべて回避という選択もあるのではないか.転居は敷居が高いが,少なくとも,羽毛布団やダウンジャケットはやめさせるという意見あり.

18)片肺移植したCHPの例.移植後に多くは移植肺にHPは起こっていない.Chest 2015; 147では2例のみ移植肺にHPが起こった.

D)ミニレクチャー「慢性過敏性肺炎の画像」

  • 典型的なUIP/Pの画像以外はお手上げなので,年内にガイドラインでは“inconsistent with UIP/P”という言葉がなくなり,“undetermined”になる予定.
  • 2011 ATS-ERS-ALAT IPF/UIPガイドライン,2013 ATS/ERS IIPsコンセンサス分類にみるCHPの位置づけでは,“CHPはIPFと鑑別が最重要な疾患群”である.
  • CHPのtypicalな画像:従来は,上中肺野優位な網状・線状影とされていたが・・・.
  • 不整な小葉間隔壁肥厚が目立つ(これは小葉辺縁の肺胞隔壁の肥厚を表している).
    分布に特徴がないのが特徴(IPF/UIPは下肺野優位である).
  • CHPのatypicalな画像:しかしこれらはよくみる所見であり,今後typicalになるであろう所見.
  • 無気肺硬化像(PPFEの所見).⇒PPFEにCHPを合併するのか,CHPが原因の二次性PPFEなのか?.いずれにしてもたまにみる所見.
    ②肺尖部の胸膜直下の粗大な嚢胞
    crazy paving appearance ?(続発性肺胞蛋白症を反映).
  • recurrent typeとinsidious typeがあるが,insidious typeはIPF/UIPの画像とそっくりであるというのは果たして都市伝説なのか?
  • ⇒CHPと診断する根拠となるCT所見は,air-trapping,centrilobular nodules,下肺野優位でないこと,である.
    insidious typeは,acute,recurrent type同様に頭尾方向に分布差なく,気管支血管周囲に優位である(JCAT 2011; 35: 272-279).やはり,IPF/UIPとは画像が違うのか??.
    ⇒ところがいろいろ検討してみると,CHP/UIPとIPF/UIPでは画像で鑑別困難例が20%存在することがわかった.2割はそっくりなものがある.
  • とはいっても,CHP/UIPの画像所見で大切なのは,profuse micronodules(多数の小結節)病変分布(特徴なし)である.
  • CTで気道中心性の粒状影をされているものを病理検討すると,“小葉辺縁近く(静脈のちかく)”のものもある.粒状影が必ずしも気道中心性とは限らない.IPFでも粒状影から始まるものもある.よって”小葉中心性の粒状影“を”経気道的“と断定するのは危険かもしれない.
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